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太陽の瞳 【鬼滅の刃】

第37章 合同強化訓練





無一郎はあの日思い出した過去を話してくれた。

無一郎の家族は元は父母、双子の兄と4人家族。
無一郎の父は炭治郎と同じように赤い瞳の人だった。
父は杣人だった。息子の無一郎も木を切る仕事の手伝いをしていた。
母は風邪を拗らせ、肺炎になった。
嵐の夜だった。
父は母を治そうと、薬草を取りに行き、崖から落ちて死んだ。
そして、母も治らず死んでしまった。

それが無一郎10歳の時。


無一郎が1人になってしまったのは11歳。

双子の兄は有一郎と言った。
言葉のきつい人だった。
記憶のなかった無一郎は、有一郎に似ていた。
父や母の話をすると不機嫌になる有一郎。

『無一郎の無は無能の無。』
『無一郎の無は無意味の無。』

そんな風にいうものだから、有一郎は無一郎のことが嫌いなんだと思っていたし、冷たい人だと思っていた。


春頃に人が訪ねてきた。
お館様の御内儀、あまね。
無一郎はあまりに美しくて白樺の精かと思った。


あまねの話によると、有一郎と無一郎は始まりの呼吸を使う剣士の子孫であるらしい。
無一郎が嬉々として剣士になろうと言うと、ものすごい形相で怒鳴られた。あの女に利用されるだけだと。

それから夏になり、夜暑くて戸を開けて寝ていたら
鬼が入ってきた。

鬼は有一郎の左腕をもぎ取った。

『うるせぇ、うるせぇ。騒ぐな。
どうせお前らみたいな貧乏な木こりはなんの役にもたたねぇだろ。
いてもいなくても変わらないような、つまらねぇ命なんだからよ。」


そう言われた時、目の前が真っ赤になり、生まれてから感じたことない怒りが湧き上がった。
その後は本当に覚えていなくて、
気がつくと鬼は死にかけていた。
頭を潰しても死なないと、苦しんでいた。
朝日が昇り鬼が塵になったのを見届けて、無一郎は鉛のように重くなった身体を引きずりながら、有一郎の元に向かった。

(兄さん、生きてる?兄さん…)

『神、様…仏…様。
どうか…どうか、弟だけは…助けてください。
弟は、俺と違って…心の…優しい子です。
人の…役に、立ちたいと…言うのを…おれが、邪魔した…。』
『悪いのは…俺だけです…。
バチを当てるなら…俺だけに、してください。』


無「そして兄は最後にこう言ったんだ。
『分かっていたんだ…。無一郎の無は「無限の無。」」




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