第36章 繋ぐべきもの ❇︎
蝶屋敷でも動きがあった。
イライラした様子でしのぶが廊下を歩く。
仏壇の前で座り深呼吸をする。
し(大丈夫。大丈夫よ。姉さん、私を落ち着かせて。
感情の制御ができないのは未熟者。未熟者です。)
ふー…
ふうぅぅぅ。
すると、廊下にカナヲの姿。
カ「師範、お戻りでしたか。
私はこれから風柱様の稽古に行ってまいります。」
し「そう。」
カ「師範の稽古は岩柱様の稽古の後でよろしいですか?」
カナヲの言葉に、しのぶは難しい顔をした。
し「私は今回の稽古には参加しません。」
カ「ど、どうして。」
し「薬の開発を急がねばなりませんからね。」
しのぶはカナヲに手招きをして、こっちへと声をかける。
カナヲはしのぶの前に正座をして、もじもじとしている。
カ「あの…
あの…、私師範ともっと、稽古したいです…。」
しのぶはキョトンとした後、じんわりと嬉しくなった。
自分の気持ちを表に出すことのなかったカナヲがこうして、「もっと稽古がしたい」そう言ってくれている。
これはなんとも喜ばしいことだった。
し「カナヲも随分自分の気持ちを素直に言えるようになりましたね。
……いい兆しです。」
「やはり、良い頃合いだわ。」
?を浮かべるカナヲ。
し「私の姉、カナエを殺した鬼の殺し方を。
カナヲに話しておきましょう。」
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