第36章 繋ぐべきもの ❇︎
「ここが…水柱邸。」
ここも立派な建物だ。
炭「さ!行きましょうか!」
炭治郎は玄関前で声を張り上げた。
炭「こんにちはー、冨岡さーん。俺ですー!竈門炭治郎ですー!」
屋敷からの反応はない。
まさか、留守とか?
しかし、炭治郎は構わず叫ぶ。
炭「義勇さーん!じゃぁ、入りますー!」
じゃぁ入ります⁉︎入るの⁉︎
反応ないのに⁉︎
泰葉がギョッとしながら炭治郎を見る。
そう思っていたのは義勇も一緒。
義(入ります⁉︎帰りますの聞き間違いだろう…)
ガラガラ
引き戸を開けて、炭治郎が玄関をあけた。
そして入っていって、義勇のいる道場に向かっていく。
泰葉も慌てて炭治郎についていく。
「お、お邪魔します。」
道場の戸を開けて、ひょこっと顔を出す炭治郎。
それにびっくりした義勇。泰葉も顔を出すと、さらに驚いていた。
義「泰葉もいたのか…その格好…お前達、なぜここにきた?」
炭治郎は今柱稽古でが行われていると義勇に説明する。
もちろん、義勇も知っていた。
炭「あ、知ってたんですね。よかった。」
「義勇さん、俺に稽古つけてもらえませんか?」
義「俺はつけない。」
ズバッと断る義勇。
やはり瞳に光がない。
泰葉は事情も何も知らないため、黙って話を聞く。
炭「じんわり怒っている匂いがしますが、何に怒っているんですか?」
義「お前が水の呼吸を極めなかったことを怒っている。
お前は水柱にならなければならなかった。」
炭「それは申し訳なかったです。」
もともと炭治郎は鱗滝に呼吸を教わり、義勇の弟弟子。
水の呼吸の使い手だった。しかし、日の呼吸の方が自分に合っているので、日の呼吸の使い手になりつつあった。
水の呼吸は技が基礎に沿ったものなので、呼吸が途中で変わったり、派生することも多いらしい。
すると、義勇が不思議なことを言い出した。
義「水柱が不在の今、一刻も早く誰かが水柱にならなくてはいけない。」
泰葉と炭治郎は顔を見合わせ首を傾げる。
炭「水柱が不在?義勇さんがいるじゃないですか?」
頭に?が浮かぶ。
義「俺は水柱じゃない。」
義勇は立ち上がると、「帰れ」と追い返す。
これは思ったよりも深刻そうだな