第36章 繋ぐべきもの ❇︎
炭「俺、お館様から頼まれてるんです。」
炭治郎が泰葉に言う。
どうしても独りで後ろを向いてしまう義勇に
少しでも前を向けるよう根気強く話しかけてくれないだろうか。
炭「だから、俺!義勇さんが話してくれるまで話しかける!」
泰葉は少し違う気もしたが、正解がわからなかったので、炭治郎に付き合うことにした。
それから、炭治郎と泰葉は義勇に付き纏う。
炭治郎は厠と風呂にまで話しかけにいった。
夜も泊まり込みをしようとすると
義「泰葉、仮にも男の家に男しかいないところで寝るな。」
と言われたが、
「大丈夫です!男しかいない家に住んでるので!!」
と、謎理論で返す。
義勇は戸惑ったが、別室にちゃんと布団を敷いてくれた。
さすが、優しい男である。
ちなみに、炭治郎は昼夜問わず引っ付いているので、義勇が夜布団で寝なければそのまま隣で座って眠ったりしていた。
そんなこんなで4日。
義勇が根負けした。
道の橋の上ではぁー。と大きなため息をつく義勇。
炭治郎はずっと話しかけている。
泰葉も、よく話題が尽きないものだなと思いながらついて行った。
義勇が橋の真ん中でピタリと止まった。泰葉達も歩みを止める。
義「俺は、最終選別を突破していない。」
最終選別。
鬼殺隊志願者が、藤の花の山で鬼と戦いながら7日間生き抜く試練である。
これを突破しないと鬼殺隊にはなれない。
義勇がこうして柱としているのに、突破していないとは…?
そう考えていると義勇がポツリポツリと話し始めた。