第36章 繋ぐべきもの ❇︎
「では、行って参ります!」
槇「十分に気をつけてな。」
千「しばらく会えないなんて…頑張ってきてくださいね!」
杏「気をつけて!宇髄には訳を話しておく!冨岡の件が済んだら竈門少年と一緒に向かうんだぞ!」
「はい!」
そう言って、泰葉は踵を返し炭治郎と待ち合わせに向かった。
少し歩くと、炭治郎が手を振っている。
炭「泰葉さーん!!!」
「炭治郎くん!おはよう!!」
炭治郎は、泰葉の姿に驚く。
炭「泰葉さんの隊服ですか?ボタンは白なんですね!」
「そうなの!今日の朝届いたばかりで。
鬼を斬れないことを示すものみたいなの。」
炭治郎は「とても似合っていますよ」にっこり笑いながら、自然な流れで手を握る。
「えっ…た、炭治郎くん?」
この手は?と戸惑いながら炭治郎を見る。
炭治郎は慌てて手を離す。
炭「すすすみません!禰󠄀豆子と泰葉さんが同じくらいの背丈なので、ついつい癖で…。」
そっかー、あははと笑っていたが、その時後ろからゾクリとするような視線を感じる。
2人がビクビクしながら、後ろを振り返ると大きく見開かれた二つの目。ギラリと金色と緋色が光っている。
『ひぃっ!!』
杏「気をつけていくように!!!」
『はいぃ!!』
2人は慌てて走り出した。
杏「竈門少年!頼んだぞ!!」
炭「は、はい!!!」
炭治郎は後ろを振り返り手を振る。
泰葉も手を振ると、杏寿郎も笑顔で手を振った。
「まさか見てるとは思わなかったね。」
炭「さすが、何かを感じ取ったんだろうな。」
はははと笑いながら水柱邸へと向かった。
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杏「はぁ…大丈夫だろうか…。」
杏寿郎はこれからが心配でならなかった。