第36章 繋ぐべきもの ❇︎
隠「おはようございます!」
朝早く煉獄家に女性隠がやってきた。
隠「西ノ宮泰葉様に隊服が届いております。」
「えっ⁉︎私に?」
隠が背負っていた風呂敷を下ろす。
それを泰葉に手渡した。
杏「客間で広げてみよう。」
客間に移動して、風呂敷を広げる。
そこには、黒っぽい詰襟と、袴が入っていた。
隠「直しが必要な時にはこの場で治しますので、着ていただいてもよろしいでしょうか?」
「は、はいっ」
杏寿郎達が部屋を出ていくと、急いで隊服に袖を通す。
しかし、それは採寸されたのではないかと思うほどぴったりだった。
先に女性隠が部屋へと入り、少し長い部分など微調整を行った。
デザインは至ってシンプル。
しのぶと同じような感じだ。
ちょっと違うとするならば、一般隊士は銀ボタン。柱は金ボタン。
泰葉のものは白ボタン。
これは一般隊士でもない事を皆に知らせるためである。
泰葉は鬼の頸を斬ることができない。それを知らせる必要がある。現に、隊士達には泰葉に関する通達があったようだ。
隠「これで大丈夫そうですね!
では、皆さんのところへ行きましょうか。」
そう言って、泰葉は居間へと向かった。
襖を開けると、煉獄家の大中小がこちらをバッとみる。
そして、ほぅと息を漏らす。
杏「よもや、君は隊服まで似合うのか…。」
槇「丁度良さそうだな。似合っているぞ。」
千「なんだか、泰葉さんが隊服を着ているなんて…不思議な気持ちです。」
褒められて頬を赤くする泰葉。
隠「よかったですね。また何がありましたら、隠の方へおっしゃって下さいね。」
そう言って、隠は頭を下げてそそくさと帰っていった。
泰葉は丁寧に見送り、また居間へと戻る。
杏「隊服は特別な素材でできている。ちょっとやそっとじゃ破れたりしない。この隊服なら、泰葉さんの戦い方でも対応できるな!甘露寺のようでは心許ないだろう!」
たしかに、蜜璃の隊服はあれでいいのかと思うもの。
あのデザインでなくて良かったと心から思う。
縫製係、前田まさおは…
「なんでだヨォ!泰葉ちゃんは出るとこ出した方がかわいいだろぉ!」
後「だから!戦い方がみんなと違ぇんだよ!」
ドゴォ!
「ゴフッ!」