第36章 繋ぐべきもの ❇︎
2人は朝食の用意をするため、母屋に向かう。
すると、千寿郎が自室から出てきたところだった。
杏「千寿郎、おはよう!!」
後ろから話しかけられてビクッとする千寿郎。
千「兄上!おはようございます!
あ、泰葉さんとご一緒だったんですね。
おはようございます。」
ニコッと笑う千寿郎に泰葉も笑顔で返す。
千「兄上は鍛錬上がりですか?」
千寿郎は台所へ向かう途中、杏寿郎に問いかけた。
杏「あぁ、鍛錬は済ませて二度寝をしたところだ!
二度寝なんて久しぶりだったな!」
それに驚いたのは泰葉。
朝まで隣で寝ていたと思っていたのに、まさかの途中で鍛錬をして、二度寝をしていたなんて思っていなかった。
「えっ、あれは二度寝だったの⁉︎」
杏寿郎と、泰葉の様子を見て、千寿郎は話を繋げた。
兄が来たのは道場と離れの方。
そして、二度寝をした。
泰葉は、杏寿郎がいつまで寝ていたのかを知っている様子…
ぶわわっと赤くなる千寿郎。
千「あ、兄上…もう泰葉さんのところにお泊まりに…」
千寿郎の様子に気がついた泰葉。
これ以上は刺激が強いかもしれない。
杏「あぁ!昨夜は…ふぐっ!」
泰葉は急いで杏寿郎の口を塞いだ。
「は、話しているうちに眠っちゃってね…!」
しかし、千寿郎は知っている。
夜の兄は全集中常中を行っているので、寝たとしてもすぐに起きるということを。
なので泰葉のついた嘘は、千寿郎に何があったかを知らせる様なものだった。
千「…仲がよろしいのは良いことだと思います。」
千寿郎が顔を赤くしながらもごもごとそう言った。
2人は千寿郎にそんな事を言われるとは思わず、顔を赤らめた。