第36章 繋ぐべきもの ❇︎
このまま寝転んでいては危険だと思った泰葉は、ガバッと起き上がる。
「き、着替えましょう!私、あっちの部屋で着替えるから、杏寿郎さんはここでどうぞ!」
杏「何も…ここで共に着替えれば…」
「いえ!それは恥ずかしいので!」
泰葉は、準備を持って隣の部屋へと向かった。
隣の部屋で寝巻きからワンピースへと着替える。
平日は悩むのも面倒なので、3着ある紺色のワンピースをローテーションすることにしている。
今日は襟元の白いものにした。
胸元にはしっかりサラシを巻いて、胸の大きさを抑える。
窮屈だが、致し方ない。
着替えて軽く化粧も施し、髪を纏めていつもの金魚の髪飾りをつける。
流石に杏寿郎の着替えも済んでいるだろうと思ったが、一応声をかける。
「杏寿郎さん、終わりましたか?」
杏「あぁ!問題ない!」
問題ないとは…と思ったが、そっと襖を開けた。
すると、隊服の袴は履き終えているものの、今からシャツを着るところだった。
「おおお終わってないじゃないですか!!」
慌てて襖を閉める。
杏寿郎はこれでもダメなのか…と不思議に思いながら、シャツを着た。
杏「泰葉さん、すまない!ちゃんとシャツを着た!入ってきてくれないか!」
杏寿郎の言葉を聞いて泰葉がそろそろと入ってきた。
杏「昨日は何も着ていなかったじゃないか。恥ずかしいのか?」
「き、杏寿郎さんは私がここで浴衣を脱いだらどう思う?」
杏寿郎はふむ。と考える。
杏「抱きたくなってしまう!!」
「え…と、ちょっとズレたけど、ドキドキしちゃうから、できる限り別で着替えたりしましょ?」
杏「そうだな。いくら全てを見たとはいえ、恥じらいは捨ててはいけないな。」
杏寿郎は眉を下げた。
そして、泰葉のワンピース姿を上から下へとなぞる様に見つめる。
杏「泰葉さんは着痩せするのか?俺の見た感じ、昨日より胸元が収まっている様に見える…。」
そう言って、徐ろに胸元に触れる。すると、昨夜のふわふわしたものではなく、何というか…ぎちっとしていた。
「きゃ!ちょっと、いきなり触らないでください!」
杏「す、すまない。しかし、泰葉さん…これは?」
「これは…」
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