第35章 誕生日 ❇︎
杏「まだ浴衣も脱いでいないというのに…」
そう言って、杏寿郎は泰葉の浴衣に手をかけた。
杏「泰葉さんの全てが見たい。脱がせてもいいか?」
甘く囁かれれば断れるはずもない。
泰葉はコクリと頷いた。
「腰を浮かせて」と泰葉に囁くと、素直に腰をあげる。
そこにすかさず腕を回し、浴衣の帯を解いた。
すると、すぐに浴衣は開き、一糸纏わぬ姿の泰葉が現れた。
恥じらいか、胸元と秘部を手で隠すが、この格好がまた唆るというものだ。
杏寿郎は、身震いを起こし、泰葉の肌全てに口付けをしたい衝動に駆られる。
首元、腕、胸元と口付けをしていく。
「んん…くすぐったい…」
と身を捩らせるが、感じてしまうようで甘い声も漏れる。胸を触ろうと手を伸ばした時、パシッと止められた。
杏「…む?」
杏寿郎が泰葉の顔を見ると、ちょっとだけムッとしているようだ。
「どうして私だけがこんな格好なの?」
どうやら自分だけが一糸纏わぬ姿なのが不服なようだ。
泰葉はムクっと起き上がる。
「杏寿郎さんも脱いでくれなきゃ不公平でしょ!」
そう言って、寝巻きの帯を解こうと腰の後ろに腕を回す泰葉。
杏「うむ!では泰葉さんに脱がせてもらうことにしよう!」
泰葉が抱きついている体勢を良いことに、杏寿郎は胸の頂を左右同時にキュッと摘む。
すると、「あんっ!」と高い声と共に身体をピクリと揺らす。
「もう!今はだめ!…あぁっ、」
泰葉の主張は聞き入れてもらえず、攻め立てられる。
ようやく帯が解け、パサリと寝巻きが布団の上に落ちる。
泰葉の目の前に現れたのは、鍛え抜かれた逞しい身体。
肉体美というのが相応しいだろう。
泰葉はさらに恥ずかしくなり、一度目を逸らす。
厚い胸板に、逞しい腕。腹筋もボコボコと筋肉が主張しているが、意外にも細い腰。
所々傷跡があり、今まで何度も凄まじい戦いをしてきたのかが分かるようだった。
泰葉はそっと傷跡に触れた。
杏「なんとも見苦しかったな…」
眉を下げる杏寿郎。
泰葉は首振った。