第35章 誕生日 ❇︎
杏「だから…
これから夫婦になり、家族が増えたとしても、もしかしたら置いて行ってしまうかもしれない。」
「泰葉さんが、それを嫌だと言うのなら…俺は夫婦にならなくても良い。泰葉さんは他の人と…「嫌です。」
杏寿郎が言い終わらないうちに、泰葉は拒否した。
「そんなの、嫌に決まっているでしょう!
私が人生で唯一、好きだという気持ちになり、愛するというのがどういう事かを分からせてくれたのは杏寿郎さん。
なのに、別の人となんて!
本当にそんなことを思っているの⁉︎」
杏「ち、違う!俺は泰葉さんしか愛していない!
君と夫婦になって、家庭を築きたい!
しかし、25までしか生きられないとなると、君の幸せが…」
泰葉は杏寿郎の頬を両手で包む。
「私の幸せは、私が決めます。
だから、杏寿郎さんは自分の幸せを考えて。
25歳までと言われるなら、それまでを精一杯幸せに暮らしましょう。」
そして、泰葉は杏寿郎の唇に口付けた。
「その分、私を愛してくれますか?
杏寿郎さん。」
杏寿郎はそっと泰葉の頬を撫でる。
杏「あぁ。もちろんだ。
しっかり受け止めてくれよ?」