第34章 黒い薔薇
杏「胡蝶!胡蝶はいるか!」
し「大きな声で呼ばなくても聞こえてますよ。」
しのぶはいつものように笑顔で杏寿郎の前に現れた。
し「朝から手を繋いで来るとは、仲がよろしくて。」
悪戯な表情でクスクス笑う。
しかし、しのぶは大好きな第二の姉を杏寿郎に取られて、少し嫉妬心が入り混じっていた。
杏「む!見られていたのか!
恥ずかしながら、実に幸せだったぞ!数ヶ月前の俺からは想像できなかったな!」
恥ずかし気があるのかないのか。
堂々と公言しているのには清々しさまで覚える。
し「…で?朝からどうしました?」
杏「うむ。金崎の新しい情報が入った。
最近、彼は姿を消しているらしい。他の柱達も、彼を見ていない。
調べてくれている宇髄でさえも、姿が掴めないようだ。」
し「どこに潜んでいるのかが、分からないということですね。
…分かりました。こちらにいる際には、私が責任を持って泰葉さんを守ります。」
杏「あぁ、よろしく頼む。」
し「あ、それから合同強化訓練は5日後から始まるそうです。
宇髄さんから始まるので、早いものでも煉獄さんのところへは1ヶ月後などじゃないでしょうか?今日にでも鴉が便りを持ってくると思いますよ。」
しのぶの話を聞いて、杏寿郎は腰を上げる。
杏「うむ!そうか!では、俺もぼちぼち準備を進めておこう!」
そして、杏寿郎は蝶屋敷を後にした。