第33章 新生活
夕飯は揃って食べる。
この生活が毎日送れるのだと思うと、泰葉は嬉しかった。
今までは、基本的に1人で食べていたから。
杏「うまい!!」
こうして、美味いと言って食べてくれる人がいる。
杏寿郎ほどではないが、槇寿郎も千寿郎も美味いと言ってくれるのだ。
千「僕の作ったものなのに。泰葉さんに盛り付けてもらうと、違う料理のようです!」
「ふふ、ありがとう。でも、味は千寿郎くんの優しい味がして美味しいよ。」
頬を赤らめ、照れる千寿郎。
とても可愛らしい。
槇「ところで、泰葉さんはこれからも蝶屋敷へと行くのか?」
「はい。お館様からの文が届くまでは、とりあえず平日は蝶屋敷へと向かいます。」
「ですが、もし許可が降りれば戦いたいと思っています。」
槇寿郎は少し目を開く。
槇「…そうか。その時が来てしまうのだな。
蝶屋敷へと向かう際、杏寿郎が行けない時には俺か千寿郎が蝶屋敷まで送ろう。」
鬼への対処はともかく、金崎の件が気になるところ。
それに対して心配しているのだ。
「お手数おかけします。よろしくお願いします。」
泰葉は頭を下げる。
槇「いや、俺たちが勝手に世話を焼いているだけだ。
娘にしてやってると思って、受け止めてくれ。」
泰葉にとってはこの上ない言葉だ。
にこりと笑って頷いた。
そして、槇寿郎と千寿郎も満足そうに頷き、茶を啜った。
夕食を終えて、片付けも済ませた。
杏寿郎は鬼の情報もないため、担当区域の警護巡回へと向かう。
杏「では、行って参ります!」
千「行ってらっしゃいませ!」
「お気をつけて。」
杏「あまり遅くならずに帰ってくると思う!
寝ていてくれ!」
そう言って、杏寿郎は夜の闇へと消えていった。
槇「嵐の前の静けさ…なのだろうな。」
槇寿朗の言葉に、2人はこれから始まる大きな戦いに悪寒がした。
槇寿郎が湯浴みに行っている間、泰葉は千寿郎と図鑑を見る。
千「今日は陸の動物を見てみましょう!」
千寿郎は読み込んでいるらしく、色々と詳しかった。