第4章 柱合会議
杏寿郎は、上弦の参が現れてからの全てを話した。
炭治郎達から聞いたことも全て。
耀哉は微かに目を見開いた。
「そう、その女性の名は西ノ宮泰葉…と言ったね?」
杏寿郎は、はい、と頷く。
耀哉は少し何かを思い出すように話し出した。
耀「西ノ宮…。
この名を名乗る者は、おそらくその女性しかいないだろうね。」
杏「…と、言いますと。」
杏寿郎は先を促す。
耀「西ノ宮を名乗る一族は、もう存在していない。
鬼舞辻が滅ぼしてしまったんだ…。
ここからは私も聞いた話だから、どこまでが事実か分からない。」
……
西ノ宮家一族は
別の名、東條を名乗って暮らしていた。
理由は、力を悪用されないため。
西ノ宮の名を継ぐ者は、戦闘能力が高かった。
初めは、身を守るための戦闘能力だったが、だんだんと周りの目が変わり、彼らを人間兵器として欲しがるようになった。
もともと西ノ宮家一族は愛情深い一族で、
穏やかな人ばかりだった。
互いに互いを想いやることができていたのに、政府にも狙われ徐々に崩れていってしまった。
そして、その戦闘能力に目をつけたのが
鬼舞辻無惨。
鬼舞辻はその一族を喰らい、力にしようと沢山の鬼に襲わせた。
しかし、高い戦闘能力の一族は、喰われることだけは阻止し、夜明けまで命を繋いだ。
そして、陽の光のもと、一族は全滅し、その死体ごと消えていた。
耀「これが私の知る西ノ宮家一族の話だよ。
でも、ずっと東條を名乗り続けていたから、鬼舞辻も本当の名を知らない。その一族が西ノ宮
と知っているのは私と…」
耀哉は杏寿郎を見据える
「君の父、槇寿郎だけだ。」
杏寿郎は開いた口が塞がらなかった。
杏「なぜ…父が…」
耀哉は頷いた。
耀「槇寿郎が任務に着いた時、高い戦闘能力を持った男性を救ったんだ。
その男性は一人で4体の鬼と対峙していた。流石に瀕死の状態だった為、この産屋敷で回復させたんだよ。
その時、その男性が槇寿郎と当時の当主にだけ、一族の本当の話をしてくれたんだ。」
全滅してからは、
西ノ宮の名は消し去られてしまった。