第32章 報告と離れ
身支度を整え、3人は居間へと向かった。
泰葉は、冷たい麦茶をコップに入れて用意していた。
杏「ありがとう!暑いので麦茶が欲しかった!」
3人は一気に飲み干し、さっぱりした様子で座った。
槇「さて、泰葉さんから来てくれるとは、どうした?」
「はい、今日は皆様にお話があって参りました。」
改まって座り直す泰葉。
3人も思わず姿勢を正す。
「槇寿郎様、お館様へ私が煉獄家に住まうことを提案していただき、ありがとうございます。
この話、喜んで受けさせていただこうと思います。」
『!!!』
杏「泰葉さん、それは本当か⁉︎」
槇「俺がでしゃばった事を言ってしまったばかりに。泰葉さん、無理はしなくていいのだぞ?」
千「僕には何のことか分からないです…。」
泰葉はこの反応に戸惑った。
「え…と、一応決心がついたので、こうしてお伺いしたのですが…
ご迷惑なら、やはり戻り…『いやいやいや!!』
慌てて槇寿郎と、杏寿郎は止めに入った。
杏「迷惑なわけが無いだろう!まさか、こんなに早く答えを出してくれるとは思わなかったんだ…。」
千「…泰葉さんは、この家で暮らすのですか?」
杏「あぁ!良かったな!千!」
千寿郎の顔がパッと明るくなる。
千「どのような経緯でそうなったかは分かりませんが、泰葉さんと一緒に住めるなんて嬉しいですっ!!」
千寿郎は泰葉の手を取り、ニコニコと喜んだ。
「うん!私も毎日千寿郎くんに会えると思うと嬉しいわっ!」
きゃっきゃっと喜び合う2人をみて、槇寿郎も杏寿郎も微笑ましく思った。
そして、杏寿郎は千寿郎にまだ伝えていないことがあったと思い出す。
杏「千寿郎、お前にまだ言っていなかったが…
俺と泰葉さんは、恋仲となった!!」
杏寿郎の言葉に千寿郎は固まった。
手を握っている泰葉の顔を見る。
その顔は真っ赤だった。
千「兄上と泰葉さんが恋仲…?
兄上の恋人が泰葉さん⁉︎」
急に驚いて手を離す千寿郎。
千「すすすすみません!僕知らなくて…!!」
「待って待って!そんな、急によそよそしくされたら嫌だわ!
私はこれからも千寿郎くんと仲良くしたいのに!」