第32章 報告と離れ
咲子の家に招かれ、夫の信明と3人で食事をする。
咲子の料理はとても美味しい。
野菜がいっぱいで、健康的な食事。
そして、泰葉は杏寿郎との事を2人に報告した。
咲「まぁ!それは良かったわね!
煉獄様を見てれば泰葉ちゃんの事をどう思ってるかなんて分かってたわよ〜!」
「へ?分かってた…っていつから?」
咲「そりゃ、初めてお会いした時から!
あの目を見れば分かるわ。煉獄様は結構顔に出やすいようね!」
泰葉は咲子の言葉に目を丸くした。
信「俺は咲子からしか聞いてはいないが、随分と見染められたもんだと思っていたよ。大切にしてもらいなさい。」
信明にまでそんな事を言われ、自分はなんで気付かなかったんだろうと、自分の鈍さを恨んだ。
「…それでね、相談があるの。」
泰葉は、金崎のことを話した。
それで、煉獄家に住まないかと言われていることも。
咲「…まぁ、そんな事があったのね。」
咲子は頬に手を当てて、信明は腕を組んで揃ってはぁ、とため息をついた。
「私は煉獄家の皆さんが好きだし、住む事自体は嬉しい話だと思っているの。
でも、ここでの暮らしも好きだし、奥さんも旦那さんも大好きよ。
だから、自分の中で決められなくて…。」
眉を下げて困った顔をする泰葉に、咲子はお茶を入れる。
咲「そうね。寂しいのは確かよ。
でもね…」
そう言いながらお茶を出す。
咲「私たちは、泰葉ちゃんそのものが大好きよ。それと同時に、親御さんから預かっているという気持ちもあるの。」
「危険な目に会った時、私たちより煉獄様の方が間違いなく助けてくれる。泰葉ちゃんがより安全で、更に幸せを感じる場所があるのなら、私たちは喜んで見送ろうと思う。」
信「それに、煉獄様の屋敷から時間はかかるかもしれないが、会えない距離ではないだろう?
それに、中間には街もある。たまにそこで会ったりすれば良いんじゃないか?君を娘のように思ってることには変わりない。」
泰葉は2人の言葉に目を潤ませた。
「うん、ありがとう。私、明日杏寿郎さんに伝えてみる。」
そうして、暖かい団欒を過ごし、そのまま咲子の家で眠った。
親子のように皆で並んで。