第30章 太陽の瞳
杏寿郎と別れた泰葉は、眠れるはずがなかった。
好き…
好きだって。
駅で会ったあの日から。
どうしよう、嬉しい。
夢じゃないよね?明日から恋人…?
心臓はドッドッドッドッと速く脈打ち、全身熱ってしまい布団に入れたもんじゃない。
唇は何度も重ね、まだ杏寿郎の唇の柔らかさが思い出される。
杏寿郎さんも、あんな顔するんだ。
大人…だったな。
5歳も下だと思っていたが、自分にその分の余裕などあったものではない。
というか、私4日も眠ってお風呂にも入っていない…!!
臭っていなかっただろうか…あんなに近くに顔があったのに…!
明日聞いてみよう!
いや、臭かったとか言われたらどうしよう。
知らぬが仏かしら。
そして、杏寿郎さん、結婚を前提にって言ってた⁉︎
槇寿郎様も、千寿郎くんも許してくれるかな…。
それよりも、全身の火照りが治らない!
早く冷めて!!