第30章 太陽の瞳
杏「…で、では!恋仲に…なってくれると言うことだろうか⁉︎」
嬉しさのあまり、声がデカくなる杏寿郎。
泰葉はにっこり笑って頷いた。
その反応を答えに、杏寿郎は寝たままの泰葉に抱きつく。
泰葉は少々体が痛むが、それよりも杏寿郎に抱きしめられた方が嬉しかった。
しばらく抱きしめられ、杏寿郎がゆっくりと身体を離すと、泰葉と鼻がついてしまうくらい近くに顔を持ってくる。
杏「泰葉さん、口付けてもいいだろうか?」
泰葉は、近すぎて唇を読むことが出来なかったが、杏寿郎の目に熱を含んでいるのが分かり、コクリと頷いた。
ちゅ…。
小鳥が突きあったかのような、触れるだけの口付け。
なんとも、ぎこちない雰囲気に、お互い笑みが溢れた。
杏「あぁ、ずっとこうしたかった…。」
杏寿郎は目を閉じて、もう一度泰葉の唇に口付けを落とす。
泰葉は身体を起こすことが出来ないため、杏寿郎にされるがまま。
恥ずかしいのもあるが、泰葉は嬉しくて堪らなかった。
すると、何度か触れるだけの口付けをしていたが、泰葉が息を吸おうと少し口を開けた瞬間、杏寿郎の舌が入り込んできた。
「んぅっ⁉︎」
まさか、舌が入り込んで来るとは思わず、目を丸くする泰葉。
だが、杏寿郎の舌は熱く、泰葉の舌を絡めていく。
静かな部屋に、ちゅ…クチュ…と水音が響き、口を通して泰葉にも響く。
なんとも心地よい、官能的な状況に目眩が起こりそうだった。
しかし、慣れない泰葉には呼吸が限界だった。
「ん、んん!ふっ…」
杏寿郎の胸元をトントンと叩く。
杏寿郎は泰葉の限界を察して、唇を解放した。
「……っはぁ…はぁ…」
2人の混ざり合った唾液が月夜にキラリと光って切れていく。
それすら羞恥にどうにかなりそうだった。
杏「…すまない、ようやく口付け出来るとなったら抑えが効かなくなってしまった。」
手の甲で唇を拭いながら杏寿郎は謝った。
「いえ、びっくりしただけで…嬉しかったから…。」
泰葉も唇を拭いながら、身体を起こした。
…………あれ?