第30章 太陽の瞳
2日後、杏寿郎は目を覚ました。
2日間も眠り続けたからか、身体が少々軋む。
首を曲げるとボキ、バキっと音がした。
ア「炎柱様!お目覚めになりましたか!
もしよろしければ湯を張ってありますので、湯浴みをどうぞ。」
杏「…む!湯浴みの用意をしてくれているのか!ありがたい。
では、お言葉に甘えて入らせてもらうとしよう!」
杏寿郎はアオイから着替えなどを受け取り、風呂場へと向かう。
その途中、泰葉の部屋を覗いてみることにした。
コンコンと一応戸を叩く。
……。
やはり返事はない。
そっと戸を開けてみると、ベッドに横たわり規則正しい寝息で眠る泰葉。
杏「まだ…起きないか?
俺は君に話したいことがある。早く起きてくれないと、緊張で心臓がどうにかなってしまいそうだ。」
杏寿郎は泰葉の前髪をサラッと撫でた。
それでも、規則正しい寝息を立てるだけの泰葉。
杏寿郎は頬を一撫でし、病室を後にした。
湯浴みを終えて、ホカホカしながら病室へと戻っていると、無一郎と蜜璃も目を覚ましたようだった。
向こうから2人も湯浴みに行くのだろう。着替えを持って風呂場へと向かっていた。
蝶屋敷には入院患者が男女構わず来るので、女湯と男湯がある。
杏「2人とも!目を覚ましたか!!」
蜜「あ!煉獄さん!
体調は大丈夫ですか?私は元気いっぱいです!」
無「僕はまだちょっと怠いです…。
でも、汗でベタつくので湯浴みに行こうかと。」
杏「うむ…大丈夫か?俺が付き添おうか?」
杏寿郎が心配して無一郎に提案すると、無一郎は微笑んだ。
無「大丈夫です。煉獄さん、以前にも僕のこと心配して声をかけてくれましたよね。僕、記憶を取り戻した時、その事をすぐに思い出しました。
だから泰葉のことを任せようと思ったんですよ。」
杏「よもや!そうだったのか!いつどこで日頃の行いが報いるか分からないものだ!はっはっはっ!」
2人の会話をキュンキュンしながら聞く蜜璃。
今後の展開を想像しすぎて、逆上せたのはナイショの話。