第29章 痣
ミシッ
炭治郎の顔の骨が唸る。
禰󠄀豆子は自らの血を半天狗にかけて、血鬼術で燃やす。
玄弥も炭治郎を助けようと、半天狗の両腕を掴みブチブチッと引きちぎった。
玄「テメェの理屈は全部クソなんだよ!ボケやろうがァァァ!!」
しかし、禰󠄀豆子の血鬼術は鬼のみが燃える。
玄弥も鬼を喰らっていたため、燃え移ってしまった。
玄「ぐっ!!」
尚逃げ惑う半天狗。すると、炎で前が見えない半天狗は、崖に向かってよろけていく。炭治郎は頸にめり込んだ刀を離すわけにはいかず、そのまま共に崖の下へと落ちていってしまった。
炭治郎を助けようと、禰󠄀豆子も共に落ちていく。
玄「炭治郎!!禰󠄀豆子!!」
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杏寿郎と蜜璃の痣の出現により、格段に優勢になっている。
しかし、憎珀天は本体ではないので、いくら切り刻んでも意味がない。
「煉獄様!私、炭治郎くんのところへ行きます!」
泰葉は杏寿郎にそう言って、痛む体を無理に走らせた。
杏「泰葉!!!無理をするな!!」
泰葉は聞こえはしないものの、杏寿郎の唇を読みなんと言っているかは分かっていた。
しかし、本体を倒さなければ…ここで力尽きたら憎珀天にやられ、柱2人を失うことになる。
そんなわけにはいかない。
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炭治郎のところに着くと、夜が明け始め段々と辺りが明るくなってきている。
頸の失った鬼の身体が見え、首を斬ったのだと安堵する。
しかし、泰葉は違和感に気づいた。
鬼は頸を失って尚、ヨタヨタと歩いている。
その先には逃げる途中の刀鍛冶が2人。
泰葉は崖を飛び降り、鬼の前に出る。
『人間、自ら来るとは…お前の方がうまそうじゃ。』
泰葉は半天狗の胴体に蹴りを入れ、グルンともう一発回し蹴りを入れる。
『ぐはっ、食わせろ、食わせろ!』
それでも這いつくばって泰葉の方へ来る半天狗。
泰葉は辺りを見渡し、鬼を斬れる人物を探した。このままでは自分もだが、刀鍛冶達が危ない。
炭治郎は、日が出始めてしまい、鬼である禰󠄀豆子が焼けてしまわぬよう庇っていた。
禰󠄀「んんー!!ん!!!」
禰󠄀豆子が泰葉達に気づき、炭治郎に必死に訴える。
泰葉も炭治郎の状況は分かっていた。