第29章 痣
その頃、炭治郎も大元を見つけ出していた。
玄弥が木を噛み砕き、木の鞭で攻撃して来るものの、禰󠄀豆子が血鬼術で焼き払い、ようやくコブを開くことができたのに、中は空っぽ。
「⁉︎⁉︎」
半天狗はネズミほど小さく、とても逃げ足が速い。
炭治郎が見つけた時には、ずっと先をすごい速さで走っていた。
炭「貴様ァァ!!逃げるなァァァ!!責任から逃げるなァァ!!
お前が今まで犯した罪、悪業、その全ての責任は必ず取らせる!絶対に逃がさない!!」
玄「いい加減にしろ、バカタレェェ!!」
玄弥はその辺に生えている木をメリメリと抜き、半天狗目掛けて投げつけた。
玄「いい加減死んどけ、お前…空気を読めェェ!!」
ドガァン!!!
玄弥は3本の木を半天狗へと投げつけた。
流石にこれには炭治郎と禰󠄀豆子も驚きを隠せない。
玄弥の投げた木は、半天狗に命中した。
ギャァァ!!
しかし、それでも半天狗は逃げようと木から這い出てきた。
禰󠄀豆子はその姿を見つけ、思い切り引っ掻いた。
それをビュンッと加速して躱し、逃げていく。
炭(速い!くそっ!延々と逃げ続ける気だな…。
夜が明ける前に…、みんなが潰れるまで…
そんなことはさせない。俺たちがお前には勝たせない!!)
だが、半天狗の逃げる速さは尋常じゃない。全然追いつくことができない。
炭(どうしたらいいんだ…)
炭治郎は考えを巡らせる。
その時、以前に善逸と雷の呼吸について話した事を思い出した。
雷の呼吸は、一瞬の加速のうち攻撃を仕掛ける。
それで大事になるのは脚への意識。
筋肉の繊維一本一本、血管の一筋一筋まで空気を巡らせる。力を足だけに溜めて…
溜めて…
一息に爆発させる。
空気を切り裂く雷鳴みたいに。
ドンッ!!!
ものすごい速さで走り出す炭治郎。それは誰の目にも追いつけないほどの速さだ。
すぐに反天狗の元に追いつき、頸に刀を突きつけた。
ガキュッ!!
半天狗の頸に刀が食い込んでいく。
ミシィ!!
いけ!いけ!今度こそ、渾身の力で!!
すると
『お前はあぁ わしがあぁあ
可哀想だとは 思わんのかアァア!!!』
急に体が成人男性まで大きくなる半天狗。
ガシッと炭治郎の顔を鷲掴みにする。
『弱い者いじめをォ、するなあああ!!』