第28章 不穏
杏「炎の呼吸 肆ノ型 盛炎のうねり!!」
蜜「恋の呼吸 参ノ型 恋猫しぐれ!!」
流石は柱。2人は放たれた強力な音波を、見事全て斬り伏せた。
蜜「私怒ってるから!見た目が子供でも許さないわよ!」
蜜璃の愛刀は極めて薄く、柔い。
技の速度は天元をも上回っている。強力な刀なしなりに加え、女体であるが故の筋肉の柔らかさ、関節の可動域の広さがその速度を可能にしている。
扱いの難しい刀。彼女のための彼女だけが使える刀である。
竜が蜜璃に巻きつこうと勢いよく伸びてきた。
蜜「恋の呼吸 弐ノ型 懊悩巡る恋!」
憎珀天は息継ぎする間もなく畳みかけてくる。
どうやら女である蜜璃の方が杏寿郎より弱いと読み、先に片そうとしているようだ。杏寿郎に竜を2体つけ、蜜璃のそばに来れないようされてしまった。
蜜璃に雷の攻撃が降り注ぐ。
蜜「陸ノ型 猫足恋風!」
杏「炎虎!!!」
ゴォッと唸りながら2人の攻撃が憎珀天の速さにもついて行けている。
『この速さでもついて来るか…。
ならば術で埋め尽くす。』
『無間業樹』
ゴゴゴゴッ
地鳴りをさせて広範囲に無数の竜が現れた。
杏「気炎万象!!昇り炎天!!」
蜜「恋の呼吸 伍ノ型 揺らめく恋情・乱れ爪!」
ギュルンッ
蜜璃は素早く辺りの竜を斬り捨て、薄く長い刀を活かし憎珀天の頸に刀を絡める。
杏寿郎は、蜜璃を見て叫ぶ
杏「甘露寺!!だめだ!離れろ!!!」
奴は本体ではないため、頸を斬っても意味がない。
それどころか、むしろ…
杏寿郎は助けに入ろうとするが、竜が杏寿郎の行手を阻む。
その時、憎珀天の口が開く。
まさか…!
泰葉は痛む足に鞭を打ち、竜の頸を蹴り蜜璃と憎珀天の間に入る。
『狂圧鳴波!!!』
憎珀天の口から狂鳴が放たれる。
泰葉は蜜璃の盾になり、正面から受けてしまった。
「ぐぁっ!かはっ…」
ガクンと膝から崩れ落ち、倒れる泰葉。
ビクビクと身体を震わせている。
衣服がボロボロになっているのが攻撃の威力を実感させる。
蜜璃も泰葉が盾になったとはいえ、やはり強力な音波には白目を向いて膝から崩れた。
杏「泰葉!!甘露寺!!!」
杏寿郎は2人の姿を見て、血の気が引くのを感じた。