第28章 不穏
その頃、杏寿郎と蜜璃は刀鍛冶の里へ到着した。
杏「甘露寺!君はとりあえず長の所に向かってくれ!恐らく強敵は時透か竈門少年達が相手しているだろう。そこに俺は向かってみる事にする!」
蜜「わかりました!お気をつけて!」
そう言って、2人は別れた。
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泰葉は舌を無一郎の唇にトントンと触れる。
無「ん…ふっ…」
「ん…」
無一郎が口を開いた時、泰葉は舌を少し入れて、唾液を流し込む。
無一郎は治療だと分かっているが、柔らかい舌の動きに、自分の舌も絡め始めた。
泰葉は目を見開く。
なんせ、そんなつもりでは無かった。
すると、頬を赤くさせトロッとした目で泰葉を見つめている無一郎。
それだけで、泰葉の背徳感と羞恥を煽られるようだった。
無一郎の傷や痺れは治ってきた。
それは無一郎も分かっていて、驚いていた。
が、今はこの快感から離れたくない。
泰葉はトントンと無一郎の肩を叩いた。
もう終わったよ、と。
そうしなくては無一郎が腰元をグッと抱き寄せていて、泰葉からは離れられなくなってしまっていた。
このままでは、泰葉もどうにかなりそうだ。
「んん!んーんん!」
泰葉は必死に訴える。
それに気づいたのは小鉄。
小鉄は恐る恐る目を開けてみると、目の前には口付けを交わす泰葉と無一郎の姿。
小「わー!何やってんですか!子供の前で!!!
それに時透さん!それどころじゃないんです!鋼鐡塚さんを助けてください!刀を守ってください!」
その言葉が無一郎の耳にも入り、急に動きがピタリと止まった。
ぷはっと無一郎から解放されて、必死に酸素を取り込む泰葉。
無「泰葉⁉︎ごめんね…僕…」
「身体は大丈夫?私こそ、ごめんね。」
2人は恥ずかしそうに視線を逸らした。
無「もう大丈夫だから、ここは任せて!
泰葉と小鉄くんは安全な場所へ!!」
「分かった!」
無一郎は、鋼鐡塚と鉄穴森がいるあばら屋に向かった。