第28章 不穏
すると、バン!バン!と2度銃声が鳴り響く。
音のする方を見ると、屋根の上で玄弥は銃を構えていた。
鬼の頸に命中し、積怒の頸は飛んだが、可楽は皮で繋がっている。
すかさず玄弥が刀でその斬り損なった頸をとった。
炭「だめだ!どんなに強い武器でも、この鬼は倒せない!」
「斬ったら斬っただけ分裂する!若返って強くなるんだ!」
泰葉も分析を急いでいた。
頸を斬らせるのはわざと。
この鬼は頸を斬られることに頓着していない。
…ということは急所は頸ではない。
そうしていると、炭治郎は突然鳥のようなものに攫われる。
鳥のようなものは、空喜。空を自在に飛び、音波攻撃を放つ。
炭治郎は攫われた空中でその音波を食らい、林の中へと落ちていってしまった。
一方で玄弥はいつの間にか哀絶の三叉槍で腹を貫かれていた。
『哀しい程弱い…』
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無一郎は炭治郎達の元へと急いでいた。
すると、小鉄が鯉のような変な生き物に襲われている。
無一郎は何事も優先順位をつける。
無(こども…刀鍛冶として未熟。助ける順位は低い。
里全体が襲われているのならまず里長、技術や能力の高いものを優先して守らなければ…)
げうっ
小鉄は手の生えた鯉に腹を掴まれる。小鉄のような小さな体はすぐにひしゃげてしまうだろう。
その時、無一郎の頭に泰葉と、炭治郎の顔が浮かんだ。
『人のためにすることは、巡り巡って自分のために…』
ザンッ
小鉄を掴む鬼の腕を斬り、後ろ手に小鉄を守る。
無「邪魔になるからさっさと逃げてくれない?」