第27章 弟
玄「…それから、兄貴は俺の前から姿を消した。
そして、鬼殺隊にいると言う事を聞きつけて、入隊を決めたんだ。
でも…兄貴は柱にまで上り詰めてて、到底話しかけられる存在じゃなくなってた。
だから、俺も柱になって兄貴と話がしたいと思って…」
玄弥が話している最中だったが、泰葉は玄弥の所に音もなく行き、ポスッと玄弥を抱きしめた。
玄弥もいつのまに近くに来たのか分からず、抱きしめられている事に戸惑っていた。
「お兄さんに、謝ろう。
気持ち全部伝えよう。
頑張ったね…。
これからもっと強くなっていこう…。」
玄弥はポロポロ泣いた。
しばらくして落ち着いた頃、泰葉は気になった事を聞いてみた。
「呼吸を使えないって言っていたけど…どうやって戦っているの?」
玄「鬼狩りにはやっぱり呼吸が使えないと断然不利なんだ。
何度も死にかけて、俺はある日苦肉の策で、鬼を喰った。」
「鬼…を…食べた…?」
玄弥は頷く。
玄「驚くのも無理はない。
俺は泰葉さんとは違うが特殊体質で、顎が強く鬼を喰っても死なない体だった。
そして、鬼を喰った後はしばらく鬼と化す。力も、再生能力も鬼同等ってわけだ。
それで今まで戦ってきた。」
泰葉は大丈夫なのかと心配したが、特殊体質というのだから大丈夫なのだろう。
玄「だけど、やっぱり一時とはいえ、鬼になっちまうからな…
あまり積極的には使わないようにしてる。」
「そうなんだ…だから、しのぶさんの所にも来ていたのね。」
玄弥は頷いた。
玄「あ、あのさ…泰葉さんは、柱に世話になってるんだろ?
その…兄貴は…元気なのか?」
泰葉はにこりと笑った。
「えぇ!元気だったよ。
私の事、不死川様よりも年上だけど、妹みたいに可愛がってくれるって言ってくださったわ!だから、玄弥くんと姉弟ね!」
玄弥は顔を真っ赤にする。
玄「…兄貴より年上?」
はずかしがっていたが、ふとその言葉に気がついた。
玄弥はそこに引っかかったようだ。
「私25歳よ!」
玄「はぁ⁉︎⁉︎⁉︎」
玄弥の驚く声が木霊した。