第26章 志
『親父が急に死んじゃって、兄弟もいない。
俺がちゃんとやらなきゃいけないのに、刀に絡繰にも才が無いから…』
炭「それであんなに…」
その間にも、無一郎は素早い動きで絡繰人形の動きについていっていた。
炭「あの人…すごいなぁ。
俺とそんなに年も違わないのに柱で…才能があって。」
すると、どこからか高めの声が響いた。
『ソリャア当然ヨ!
アノ子ハ"日の呼吸"ノ使イ手ノ子孫ダカラネ!』
その声する方を見ると、一羽の鴉。
無一郎の鴉 銀子だった。
アノ子ハ天才!
と、炭治郎達を見下している。
正直言って…性格がよろしくない。
そして、炭治郎はハッとする。
炭「思いだした!夢だ!
俺、あの人を夢で見た!!」
非現実的だと、銀子に笑われる。
『それは、記憶の遺伝じゃないですか?
うちの里ではよく言われる事です。』
受け継がれていくものは、姿形だけではない。生き物は記憶も遺伝する。
例えば、刀を初めて作るとき同じ場面を見た記憶があったり、経験してないはずの出来事に覚えがあったり…
そういうものを記憶の遺伝と呼ぶ。
『あなたが見た夢は、きっとご先祖様の記憶なんですよ!』
炭「肯定してくれてありがとう。優しいね。
俺炭治郎。君の名前は?」
小「俺は小鉄です。」
「私は泰葉。よろしくね。」
泰葉がにこりとする。
小「俺、可愛い女性は大好きです!」
バキィン!!
炭「あっ、鎧が…!」
零式の姿を見ていられなくなった小鉄は、茂みの方に走り出した。
「小鉄くん!!」
泰葉達は小鉄を追いかける。
炭治郎は小鉄の匂いを辿っていく。
ある木の前で立ち止まる。上を見ると木の上で蹲って泣いている小鉄。
炭「直すのを手伝うよ!諦めちゃダメだ!
君には未来がある!
今頑張らないと、今できないことも、いつかできるようになるから!」
小「…ならないよ。
自分で自分がダメなやつだって分かるもん。
俺の代で…俺のせいで全部終わりだよ。」