第26章 志
翌朝。
炭治郎は泰葉と落ち合う前に鋼鐡塚を探しに行くことにした。
炭「甘露寺さんが言ってた武器って何だろうな。
やっぱり刀かな?埋まってたりするのかな?
宝探しみたいでワクワクするなぁ。」
ただ、炭治郎には難点があった。
凄くいい所なのだが、温泉の匂いが強く、うまく鼻が利かない。
炭「鋼鐡塚さんを早く見つけたいんだが…」
そう呟いていると、茂みの中で誰かが話しているような声がする。
子供…ともう一人。
炭(あれ?確か柱の…なんて言ったっけ、しのぶさん…。
そうだ、霞柱 時透無一郎。)
『どっか行けよ!
何があっても鍵は渡さない!
使い方も絶対教えねぇからな!!』
何だろう…揉めてるのかな?
仲裁しないと…!
と思っているうちに、無一郎はその子供にいきなり手刀を喰らわした。そして子供の胸ぐらを掴む。
その光景を見た炭治郎は頭に血が上った。
炭「やめろー!
何してるんだ!手を放せ!」
無「声がとてもうるさい…誰?」
無一郎は、迷惑だと言わんばかりの顔をしている。
炭「子供相手に何してるんだ!手を…」
炭治郎が無一郎の手を放させようと、グッと力を入れるがびくともしない。
炭治郎より小柄で細い腕。それなのに…
無「君が手を放しなよ…」
ムッとした表情で、
ドグっと炭治郎の鳩尾に肘打ちを喰らわす。
炭「ぐっ…ゲホッ、おえっ」
無「すごく弱いね。よく鬼殺隊に入れたな。
…その箱、鬼の気配。何が入ってるの?」
無一郎が禰󠄀豆子の入った箱に触れようとした時、炭治郎は無一郎の手を弾いた。
炭「触るな!!」
炭治郎が無一郎に睨みを効かせる。
無一郎が炭治郎に気を取られているうちに、無一郎の手から子供を奪い返した。
無(取られた…)
炭「大丈夫?」
『は、はなせよ!あっち行け!!」
子供は警戒しているようだ。
『だ、誰にも鍵は渡さない。拷問されたって…
絶対にあれはもう次で壊れる!!』
炭治郎には何の話か分からない。
ただ、子供は何かを必死に守ろうとしているようだった。
すると、無一郎は冷たい視線を向けた。