第26章 志
泰葉は驚きはしたものの、それで小芭内と出会えたとなれば、無駄じゃなかったという事だと思った。
炭治郎は汗をダラダラ流して、色々受け止めようとしているみたいだ。
玄弥の部屋に到着したが…
本人はいなかった。
蜜「あらー、いないわね…」
皆で肩を落としていると、
『甘露寺様ー!』
と、女性の隠が駆けてきた。
隠「そろそろ刀が研ぎ終わるそうです。
最後の調整のため、工房に来てほしいとのことです。」
蜜璃は眉を下げた。
蜜「あらー、もう行かなくちゃいけないみたい。」
泰葉も、蜜璃と帰る予定だ。
「あ、じゃぁ…私も用意しないと。」
炭「お見送りしますよ!」
蜜「いいのよ、多分深夜に発つことになるから。
泰葉ちゃんも、それは危ないわ。」
蜜璃は炭治郎を見る
蜜「炭治郎くんは長期滞在の許可が出ているのよね?
泰葉ちゃんは炭治郎くんと一緒に来るといいわ。」
「えっ!しのぶさんにも蜜璃ちゃんが終わるまでと言ってあるし…」
蜜「大丈夫。しのぶちゃんにも言っておくわ。
深夜や、一人で移動させるわけには行かないから。炭治郎くんなら安心よ。」
日輪刀を使わない泰葉には頷くしかなかった。
「…しのぶさんによろしく伝えてね。」
蜜「分かった。ちゃんと煉獄さんにも言っておくから。」
蜜璃は泰葉にウィンクをした。
蜜「炭治郎くん、泰葉ちゃん。今度生きて会えるか分からないけれど、頑張りましょうね。
あなた達は、上弦の鬼と戦って生き残った。これは凄いことよ。
実際に体感して、得たものはこれ以上ない程価値がある。
5年分、10年分の修行に匹敵する。
今の炭治郎くんは前よりも、もっとずっと強くなってる。」
蜜璃はにこーっと笑った。
蜜「甘露寺蜜璃は竈門兄妹と泰葉ちゃんを応援してるよー!」
炭「ありがとうございます!でも、もっともっと頑張ります!
鬼舞辻無惨に勝つために!」
炭治郎の熱い決意にキュンとする蜜璃。
泰葉も炭治郎と蜜璃の話を聞いて、思った事がある。
(皆命懸けで戦っている。治療だけじゃなくて、私も力になりたい…)