第26章 志
炭「あ、甘露寺さんが温泉で会ったのは、
不死川玄弥という、俺の同期でしたよ。」
蜜「あ、そうだったの〜?」
泰葉もやはりそうだったのかと頷いた。
蜜璃は眉を下げ悲しい顔をする。
蜜「不死川さんの弟さんでしょう?
でも、不死川さん弟はいないって言ってたの。
仲悪いのかしら?切ないわね…」
炭「そうなんだ…どうしてだろう…」
実弥が玄弥に思う気持ち…それを泰葉は知っている…。
決して仲が悪いわけではない。弟を自分と同じ境遇にしたくないだけだ。
しかし、実弥は周囲に弟はいないと言い張っているようなので、泰葉は余計なことは言わないでおく。
そうしていると、テーブルの下でモゾモゾと動くもの。
ぴょこっと顔を出したのは禰󠄀豆子だった。
「禰󠄀豆子ちゃん!久しぶりね。
元気だった?」
禰󠄀豆子はニコニコしながら泰葉の膝に座る。
泰葉は禰󠄀豆子の頭を撫でながら、炭治郎達の話を聞いていた。
里の人によると、
玄弥は食事にもきていないらしい。
ちなみに、無一郎は食事をする部屋も忘れてしまうので、泊まっている部屋だけにして、そこで食事をとっている。
蜜「なにか持ってきているのかしら?」
炭「大丈夫かな?後で握り飯でも持っていこう…」
蜜「そうね!そうしましょう!」
禰󠄀豆子は泰葉と蜜璃に懐いて、こちょこちょされて喜んだり、ぎゅーっと抱きついたりして、幼い子供のようだ。
握り飯を用意してもらい、それをみんなで玄弥の部屋まで持っていった。
途中、炭治郎が蜜璃に質問する。
炭「甘露寺さんはどうして鬼殺隊に入ったんですか?」
泰葉も、その理由は知らなかった。
家族を亡くしたようでも無さそうだし…煉獄家のようなものだろうか?
蜜璃は、もじもじと顔を赤くさせる。
蜜「えー、どうしよう…聞いちゃう?」
泰葉と炭治郎は息を呑む。
蜜「添い遂げる殿方を見つけるためなの!!」
ポカンとする2人。
蜜璃は構わず喋り続けている。
蜜「やっぱり、自分より強い人がいいでしょ。女の子なら!」
添い遂げる男性には守ってほしい。人より強く生まれた蜜璃は、自分より強い人を見つけるには、鬼殺隊の柱に会う必要があると考え、そのために頑張って柱になったという。