第24章 刀鍛冶の里
杏「では胡蝶、よろしく頼む!
泰葉さん、次に会えるのは刀鍛冶の里から帰ってからだな。
気をつけて向かうように!」
「はい、ありがとうございました。」
では!と、杏寿郎は宇髄の所へと出かけていった。
し「煉獄さん、帰ってきたらすぐに現れそうですね。」
しのぶはクスクス笑った。
泰葉はなんとも言えない恥ずかしさに顔を赤くする。
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11時頃。
しのぶが治療室に入ってくる。
し「泰葉さん、そろそろ代わりましょう」
もうそんな時間か。
その間、廊下などですれ違っても怖いので、しのぶの自室で待つことになっている。
しかし、今更ながら思い出したことがある。
「し、しのぶさん。私、忘れていたことがあるの…
昨日、彼は非番だって言ってた。だから…来ないんじゃないかな?」
しのぶはその言葉を、聞いて目をパチパチした。
そして、すぐ黒い表情を見せた。
し「…多分、来ますよ。」
何をもってそう言っているのか分からなかったが、やはり代わるとの事だったので、泰葉はしのぶの自室へと向かうことにした。
しのぶの自室は蝶屋敷の奥にある。
1人で過ごすには十分な広さの部屋だ。
そこには卓袱台と、丸い金魚鉢。
そこに一匹の金魚が泳いでいた。
綺麗な水の中で泳ぐ綺麗な金魚。
泰葉に気づいたのか、こちらに寄ってくる。
「人懐こいのね。」
泰葉がコンコンと指でガラスを突くと、くるりと回った。
意思疎通ができている気になり、嬉しくなった。
「赤い金魚
なぜなぜ赤い
赤い花を
摘んだから」
泰葉は、金魚に目を細めた。
「ねぇ、本当?
赤いお花を摘んだから赤くなったの?」
そう尋ねても金魚は黙ったまま。
「赤いお日様
なぜなぜ赤い
赤い金魚を
好いたから」
「あなたはお日様に会ったことがある?」
泰葉の頭にニカっと笑う杏寿郎が映る。
『泰葉さんは金魚の精かもしれないな!』
「私の中のお日様は…赤くなってくれるのかしら…」