第23章 危険
泰葉は煉獄家に泊まる事にした。
こんなに頻繁にお世話になって良いものかとも思ったが、幾分夜は危険だ。
それに、皆歓迎してくれるのでありがたい限りである。
千「泰葉さん!今日はゆっくりできるのですね!」
千寿郎が嬉しそうに泰葉の元にやってくる。
千「僕!泰葉さんと見たい本があるのです!一緒にみませんか?図鑑と言って、色々な生き物が詳しく描かれているのです!」
泰葉の手を取る千寿郎。
「杏寿郎さんからも、今日は千寿郎くんと沢山お話ししてって言われてるから、いくらでも付き合うわ!
私も図鑑というものを見てみたいし。」
泰葉の隣には杏寿郎。
しかし、千寿郎の目には泰葉しか映っていないようだ。
杏「せ、千…兄も」
千「本当ですか⁉︎では、図鑑は重いので僕の部屋でも大丈夫ですか⁉︎」
「えぇ!もちろんよ。」
杏「せ…千寿郎?兄は…」
千「では、では!参りましょう!わぁ、嬉しいです!」
千寿郎は泰葉の手を取り自室へと促す。
2人は部屋へと入ってしまい、置いてきぼりをくらう杏寿郎。
杏「よもや…。あんなに自然に自室へ誘導するとは…。
千寿郎恐るべし…。」
その姿を見て、槇寿郎はくくく…と笑う。
槇「弟に一本取られたな。
油断してると、そうやって取られてしまうぞ。お前も頑張る事だな。」
そう言って杏寿郎の肩をポンと叩く。
杏「はぁ…。正直、俺がこんな風になるとは思いませんでした。」
槇寿郎は、杏寿郎の姿に自分の若かりし時を重ねていた。
槇「あぁ。俺が瑠火と出会った時も、お前のようだった。
少し話をしないか。お前たちが産まれる前の話をしよう。」