第23章 危険
〜杏寿郎視点〜
先程から泰葉さんは時計と外を気にしている。
帰る時間をどうするか考えているのだろう…。
久しぶりに泰葉さんの作るご飯を食べることができて嬉しかった。
だが、まだゆっくり話もできていない。
帰らないでほしい。
しかし、今日怪しい男に会ったばかりだ。
俺がそんな事を言ったところで、恐怖を感じてしまうかもしれない。
そんなことになれば、この関係も無くなってしまうだろう。
俺は泰葉さんに近寄る。
「泰葉さん…だいぶ暗くなってしまったが…
帰らないとダメだろうか?
今日は送っていけるが…今から家に帰ってもつまらんだろう?
明日、勤務の時間に合わせて俺が送っていこう。
今晩は千寿郎達とも話してやってくれ。」
あぁ、俺はいつから弟をダシにして狡い事を提案する様になったのだろうか…。
千寿郎、すまない…
すると泰葉さんは、
「そんな事を言われたら帰りたくなくってしまう」
と、何とも可愛い事を言ってくれる。
狡いとも言われたが…。
しかし、自分で言っておいて何だが…
千寿郎との話に釣られたのではあるまいか…?