第23章 危険
「ここは煉獄家の3人しかいないのですから、少しくらい我儘言ったってバチは当たりませんよ。」
可笑しそうに笑う泰葉に、照れる杏寿郎。
その微笑ましい様子に槇寿郎と千寿ろは口元を綻ばせた。
杏「うまい!!」
千「はい!とても美味しいです!」
槇「うん、うまい。」
皆に喜んでもらえて、泰葉も嬉しかった。
隣に座る千寿郎も終始ニコニコしていてかわいい。
泰葉もニコニコして千寿郎を見ていると、千寿郎の口元にご飯粒が付いている。
泰葉は、千寿郎くん、と呼びかけてその口元に手を伸ばした。
ヒョイっとご飯粒を取ってやり、そのまま
ぱく…
目を丸くして泰葉を見ている千寿郎。
だんだんと顔が真っ赤になっていく。
それを見て、泰葉も真っ赤になっていく。
(あぁぁぁ…また、やってしまった…)
カチャン…
それを見て箸を落とす杏寿郎。
杏「泰葉さん、まさか…それは癖なのか?」
「いえ…癖…では…癖、なのかなぁ…」
泰葉は真っ赤になり、俯いた。
「ごめんね、千寿郎くん…」
千「い、いえ…僕がご飯粒を付けていたのがいけないんです。」
幼気な少年にはしたない事をしてしまったと反省する。
槇「…泰葉さん、とりあえずその癖は直した方が良い。
気のある男は勘違いしてしまうからな。」
「はい…」
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その後は楽しく食事が進み、片付けも済んだ。
すっかり日は沈み、辺りは暗くなっていた。
泰葉は時計を見ながら悩んでいた。
どのタイミングで帰ろうか…と。
煉獄家は何より居心地が良い。泰葉にはこれが嬉しくもあり、悲しくもあった。
楽しい時間を過ごして、帰った家の寂しさを痛感するからだ。
そう考えていると、杏寿郎がやってきた。
杏「泰葉さん…だいぶ暗くなってしまったが…
帰らないとダメだろうか?
今日は送っていけるが…今から家に帰ってもつまらんだろう?
明日、勤務の時間に合わせて俺が送っていこう。
今晩は千寿郎達とも話してやってくれ。」
杏寿郎はにこやかにそんな魅惑的な提案をしてくる。
「…狡いですね、そんな提案されたら、帰りたくなくなってしまいます。」
泰葉は困ったように微笑んだ。