第3章 蝶屋敷
4人は時系列で話し始めることにした。
まず列車に出たのは下弦の壱、魘夢。
炭治郎、善逸、伊之助、禰󠄀豆子の負傷はこの戦いで負ったものだった。
魘夢を倒し、列車が横転したが杏寿郎の技の連発と、鬼の肉片が残っていたため、死者はなく負傷者も少なかった、
…そして、ここからがある意味で本題である。
乗客の救助中に、上弦の参、猗窩座が現れた。
炭治郎ら3人は怪我と、力の差から戦闘に加わることができなかった。
杏寿郎でさえ、劣勢だった。
炭「その時に、泰葉さんが俺の横に現れたんです。」
全員がその先の話に息を呑んだ。
炭治郎の話によると、逃げるように声をかけた。
しかし、泰葉はぶつぶつ何かを言っていて、よく聞いてみると、猗窩座の攻撃がどちらから来るかを呟いていたという。
伊「はっ⁉︎ギョロギョロ達の戦いは、俺らでも目で追えなかったんだぞ⁉︎あいつには見えてたって事かよ⁉︎」
炭治郎は、頷いた。
杏「むぅ、俺にもそうとしか思えん。」
炭「俺たちには、煉獄さん達の動きは速すぎて次元が違いました。
しかし泰葉さんは、そのまま構えをとったんです。
もちろん止めました。生身の人間が危ないと。
でも…『あなた達も生身の人間でしょう!』と怒られました。」
そこからは、杏寿郎が話し始める。
杏「正直、その時の俺はギリギリだった。左目は潰されて、右脇腹に攻撃を喰らっていたため、肋骨も粉砕され、内臓もやられていた。」
しのぶは目を見開いた。そんな致命傷を負っていたのを知らなかった…というか、見当たらなかった。
しかし、その先に、答えがあるのかもと話を折ることはせず、続きを待つ。
杏寿郎は猗窩座との力の差を思い知らされ、その場にいる者を死なせない為にも、炎の呼吸の中で一番威力のある奥義を使ったという。捨て身の覚悟で。
相手との至近距離まで詰めるので、猗窩座との戦闘には不向きだと思ったが、それしか無かった。
奥義によって頸を斬り、そして杏寿郎自身も急所を狙われる…
その構図が見えていたという。
炭「…そんな…」
杏「…こうして全員が生きていたから話せることだがな。
俺は未来ある君たちを死なせたくは無かった。」
炭治郎、善逸、伊之助は、またその時を思って涙を流した。
杏「柱ならば、後輩たちの盾になることも覚悟している!」