第23章 危険
気になることは多いが、泰葉の話を聞いてみてからにしようと、着替えて部屋を出る。
すると、沢山の作り置きも作っているのだろう。色々な美味しそうな匂いが廊下にも立ち込めていた。
それを、スーッと大きく吸い込む。
杏「今日も、いい匂いがする!この匂いだけでも白飯が進みそうだ!」
千「僕もです!隣で見ているとお腹が鳴ってしまって仕方ありません!」
杏寿郎の言葉に、千寿郎は嬉しそう答えた。
泰葉視線は手元そのままに、ふふっと笑っている。
その姿に、もしも泰葉と夫婦になったら、このような生活を送れるのだろうな、と想像してしまった。
途端に身体が熱くなるのを感じた。
千「兄上、もう少しで夕飯が出来上がります。
父上と居間で待っていてください。」
千寿郎に言われて杏寿郎の意識は戻ってきた。
杏「あ、あぁ!ありがとう!」
杏寿郎は居間に移動すると、槇寿郎が茶を啜っていた。
槇「良かったな、泰葉さんが来てくれて。千寿郎も俺ももちろん顔が見たかったが…1番はお前だろう。」
杏「よもや!俺は蝶屋敷に行けば会えますから…
お二人が家に呼ぶように言ったのではありませんか!」
杏寿郎は図星だった。
蝶屋敷に行けば、確かに泰葉を見ることはできるが、先日のようにゆっくり話はできない時も多い。
奇跡的にも煉獄家との、繋がりがあったためそれを口実に呼べたのだ。
槇「お前、自分が思うほど隠せていないからな…」
槇寿郎はジトっとした目で杏寿郎を見た。
杏「何のことか!父上、この話は終いです!」
すると、「できましたよー!」と千寿郎がお膳を持ってきた。
千寿郎の作る食事ももちろん美味しい。
しかし、泰葉が来ると、女性の感性なのか彩があり、見た目が美しい。
今日の献立は、小松菜と海苔の和物、豚肉と人参を甘辛く炒めたもの、わかめの酢の物、白米にさつまいもの味噌汁だった。
杏「今日はさつまいもの味噌汁か!」
杏寿郎の目がより輝いた。
それを見て、泰葉がふふふと笑いながら居間に入ってきた。
「杏寿郎さん、さつまいものお味噌汁がお好きだったんですね。
さつまいもが好きなのは知っていましたが…。
言ってくだされば、もっと早くから作りましたのに。」
杏「いや、作ってもらうのに注文をするのは些か我儘だと思って…」