第22章 目覚め
杏「…!」
天「ぶふっ!」
し「ぷっ…」
全くもって悪気のない目で言う炭治郎の言葉に、吹き出す天元としのぶ。
し「もう少ししたら来ると思いますよ。炭治郎くんの回復具合も気になるようですし。
では、私は用がありますので失礼しますね。」
そう言って、しのぶは部屋を出る。
天「そういやぁ、猪はどこ行ったよ?」
炭「伊之助は…多分泰葉さんに戦いを挑んで、はぐらかされた後、アオイさんのところに行ってつまみ食いをしているんだと思います。」
天「…アイツらしいな。」
杏「黄色い少年も先日任務に出ていったからな!泣いて泰葉さんに縋っていたが、俺が声をかけたらすぐに向かったぞ!感心だな!」
天元と炭治郎は顔を見合わせた。
天「煉獄…我妻に何言ったんだよ…」
2人は善逸が気の毒になった。
しばらく、そんな話をしていたが、泰葉は待てど暮らせどやってこない。
炭「俺、多分今日中には泰葉さんに会えると思うので、大丈夫ですよ?お二人とも…時間は大丈夫なんですか?」
天「そうだな…流石に嫁達も待ってるから、そろそろ行こうとは思っているが。」
杏「うむ…。俺も一度家に帰り今晩の任務に備えなければならないな…」
杏寿郎は明らかにしょぼんとしている。
炭「俺、後一週間はここにいる予定なので、来れたらまた来てください。きっとその時には泰葉さんもお話しできると思います。」
杏寿郎は眉を下げて立ち上がった。
杏「あぁ、そうだな。」
天「じゃ、また来るわ。頑張って体戻せよー。」
天元はヒラヒラと手を振って部屋を出る。
杏寿郎もそれに続いた。
部屋を出た2人は玄関に向かった…が、杏寿郎は足を止める。
杏「宇髄、やはり泰葉さんの顔を見てから行きたい。」
天「だろうと思ったよ。今回は邪魔しないでやるわ。じゃ、またな。」
天元はニッと笑って歩いていった。
杏寿郎は治療室へと向かう。
治療室の扉は開けられたままだった、
「痛みますか?ここは…曲がります?」
泰葉は隊士に優しく問いかける。
杏寿郎は気付かれぬよう、入り口の壁に寄りかかって見ていた。
杏(あぁ、君は一人一人に丁寧に関わってくれているんだな…)