第22章 目覚め
し「煉獄さん、もう少し静かに来てください。」
しのぶは、はぁとため息をつく。
杏「む、すまない…」
天「な?すぐ来ただろう?」
炭「はは、ですね!」
杏寿郎は何のことかと首を傾げる。
し「今、ちょうど煉獄さんの噂話をしていたんですよ。」
炭「俺、泰葉さんの血で治してもらったみたいで…。」
杏「うむ!なるほど!泰葉さんの血のおかげで、元気になったとは!よかったな、竈門少年!」
炭「はい!煉獄さんの足も泰葉さんの血で治ったのかなって。」
ぶわっ
杏寿郎はその途端顔が真っ赤になった。
炭「あ、あれ…、煉獄さんからとてつもなく恥ずかしさと、困惑の匂いがします。」
天「お前、感情まで分かるのか?」
炭「はい!俺は鼻で人の全ての匂いが分かります。善逸は同じように耳で分かるし、伊之助は感覚で分かります!」
天「ほー、人の区別くらいと思っていたが、派手に便利だな。」
そして、天元は杏寿郎をニヤニヤしながら見る。
天「…お前、バレてんぞ。」
杏「しかしだな…いくら仕方がなかったとはいえ、人にホイホイというものでも無いだろう…。」
炭「煉獄さんは血ではなかったんですか?」
杏「…!!」
天「そうだなぁ、煉獄は俺らよりもっと羨ましい方法で治してもらったんだぜ。」
杏「宇髄!!!」
炭治郎はキョトンとしていた。
炭「そうですか。
でも、泰葉さんにちゃんとお礼を言わないとなぁ…」
すんすん…
炭治郎が鼻を鳴らす。
炭「あ!泰葉さんがこっちに来るみたいだ!
ここに来てくれますかね?」
杏「む!本当か?」
トクントクンと、杏寿郎の胸は期待で高鳴る。
炭(煉獄さん、嬉しさと期待の匂いになった…)
パタパタと足音が近くなり、コンコン…と戸が鳴った。
杏(…来る!)
…と、その時
隊「すみませーん!手当をしてもらえませんか⁉︎」
「あ!はーい」
パタパタパタ…
足音はまた戻っていってしまった。
炭「あ…戻っちゃった。」
杏「……。」
炭(あぁ…めちゃくちゃガッカリしてる…!)
炭「煉獄さん、今日の情緒、不安定ですね?」