第22章 目覚め
カナヲが珍しく、自分の意思で大声を出したのに驚き、皆ピタリと動きを止めた。
「カナヲちゃん、炭治郎くん目覚めて良かったね!
カナヲちゃんが一生懸命、看病して祈ったおかげよ。」
そう声をかけると、ぽぽぽと顔を赤くした。
「とりあえず、この部屋を出ましょうか。
静かに眠らせてあげましょう。」
伊之助は同じ部屋なのでそのままいるが、ほかの人たちは皆部屋を出ることにした。
ア「あ、泰葉さんにお願いがあるんですけど…
しのぶ様も今、遠方の任務に出られてていません。
私はこれから患者さんの検診に行かなくてはいけないので、炭治郎さんの目覚めを気にしてらっしゃる方に手紙を出して欲しいのです。
鴉はカナヲの鴉に届けてもらうので、手紙を書いていただけないでしょうか?」
「分かった。知らせておくね。」
泰葉は、しのぶと善逸、任務を共にした天元と杏寿郎に手紙を書いた。
それをカナヲの鴉 五十鈴(いすず)に託す。
「よろしくね」
泰葉は中庭に出て、五十鈴の頭を撫でて飛ばした。
すぐに手紙は各所に届き、皆炭治郎の目覚めに安堵した。
中庭から室内に入ると、そこには炭治郎の部屋にいた隠、後藤がいた。
後「あの、貴女が一般の方だけどお手伝いしてくれてるっていう、泰葉さんっすか?」
「え、あ…はい。」
後藤は泰葉に不審がられているのだと思い、自己紹介を始める。
後「あー…俺、隠の後藤って言います。
こういう黒い格好をしてるのが、隠って役職の…事後処理隊って感じっすかね。」
そう説明をされて、泰葉は無限列車の時を思い出した。
「あ!列車で乗客の皆さんを運んでくれた方々ですね!」
後「…もしかして!あの時、炎柱様と戦ったのって…」
後藤は泰葉を指差して驚いていた。
「…はい。でも、この事は他の方には内緒にしていただけますか?
一応、なんて事ない一般人としてお手伝いしているので。」
後「あー、そうなんすね。
わかりました。誰にも言いません。
っていうか、隠の中でも話題なんすよ。かわいい一般人が蝶屋敷にいるって。
隠は滅多に治療には来ないんで、見てきてくれって頼まれて。」
後藤は照れ臭そうに、ポリポリと頬をかいた。