第3章 蝶屋敷
「…ぷ。」
最初に吹き出したのは、しのぶだった。
それを皮切りに炭治郎と善逸も笑い出した。
「うひゃひゃ…やっぱり誰がどう見たって、ただの食いしん坊だよ。」
炭「確かに多いとは思っていたけど、そんなことがあったなんて。」
し「でも、泰葉さんのお弁当も払っておくなんて、あの人らしいですね。」
しのぶたちは笑いすぎたからか、目尻に涙を浮かばせそれを拭った。
今度は泰葉が?を浮かばせる番となった。
炭「その泰葉さんが会ったのは…」
炭治郎が言いかけた時、
アオイの大声が聞こえた。
ア「しのぶ様!どちらにいらっしゃいますか?
炎柱様が意識を戻されました!」
その声を聞いて、しのぶは立ち上がった。
「あらあら。噂をすればなんとやらですね。私たちの話が聞こえたのでしょうか?」
アオイの慌てぶりに反して、しのぶは落ち付いている。
炭「しのぶさん、俺たちも行っていいですか⁉︎」
しのぶはニコッと頷いた。
「ただし、静かにお願いしますね。
それと、泰葉さんはまだ待っていてください。
煉獄さんにも会うか会わないかを確認しますので。」
泰葉は頷き、一度解散となった。
泰葉は自分の病室へと戻る。
…といっても退屈なので、病室から中庭に出ることにした。
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「ん…」
杏寿郎は目を覚ました。
ここは…
久しぶりに見る白い天井。
「…蝶屋敷か。」
杏寿郎は両手を握ったりして動きを確認した。
生きて…いる。
猗窩座との戦いで、左目と右脇腹をやられた。
自分で死を感じた。
少年たちと話をして最後には…
「母上がいた…」
杏寿郎は両手で目を覆って、頭を整理する。
死んだと思っていたのに、こうして生きている。
それだけでも、頭の混乱はすごかった。
ガチャ
誰かが部屋を開けたようだ。
しかし、今は頭が追いつかない。
すると部屋の外でアオイがしのぶを呼んでいる。
杏寿郎はとりあえず、身体を起こすことにした。
病室は個室。
正面の窓からは中庭が見える。
「今は昼間…か。」
陽の光が優しく入ってくる。
ぼーっと見ていると、誰かが中庭に出てきた。
「あれは…」
癖のかかった、肩までの黒い髪。
少しふっくらした可愛らしい女性。
「あの時の…。」
コンコン