第21章 想い
実「そうだな。信じてやらないといけねぇんだが…
やっぱり、幸せに生きて欲しいと思っちまうんだよなぁ。」
泰葉はそれを聞いて、キョトンとしている。
「玄弥様にとっては、それが幸せとは限りませんよ?
その人の幸せは、その人の物差しでしか測れませんから。」
俺はそう言われて、ぶはっと吹き出した。
実「それもそうだなァ!
俺が勝手に決めちゃダメかァ。」
「そうですよ。今が幸せかもしれません。」
実「だと良いんだけどよぉ」
きっとこうやって、毒気を抜かれて煉獄の親父さんも改心したんだろうな。
泰葉には、煉獄家との関わりを多く持たれすぎたのかもしれない。
俺の入る隙はねぇって事か。
実「なぁ、泰葉」
俺はどうしても確認しておきたかった。
同時に失恋が確定するが。
実「お前、煉獄のこと好きかァ?」
「え…それはどういう…」
途端に顔を赤くする泰葉。
それだけで十分だ。
実「いや、やっぱいい。
頑張れよ、かわいい妹だと思って応援してやらァ。」
しかし、泰葉は困った顔。
「杏寿郎さんは20歳で、私は25歳。
それに由緒正しい家庭の御子息です。
ちゃんと相応しいお嬢さんが来てくれると思います。」
俺にあんだけ言っておいて、自分は随分弱気じゃねぇか。
実「おいおい、幸せもだが、それこそ泰葉が決めることじゃねぇだろォ。
煉獄を想う気持ちがあるなら、大事に育てとけ。煉獄の相手は煉獄が決める。自分に正直なヤツだ。流されるようなヤツじゃねぇ。」
「ふふっ、そうですね。
ありがとうございます。お兄さん。」
俺は泰葉の頭をくしゃくしゃと撫でた。
実「それに、万が一煉獄が他の誰かを選んでお前を泣かせたら、俺や冨岡、宇髄、時透で泰葉をもらってやらァ。
ドロドロに甘やかしてやる。」
その言葉に目を丸くする泰葉。
「随分と豪華ですね。…虫歯になりそうです。」
そう言って笑った。
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