第21章 想い
泰葉は大粒の涙をポロポロと流した。
義「鬼殺隊の者は似たような境遇が多い。
俺の話も珍しいことではない。」
泰葉は涙が落ちついた頃、ようやく口を開く。
「似たような境遇の方は確かに沢山いるのだと思います。
でも…
冨岡様と、蔦子様の思い出は2人の間にしか存在しません。
その思い出は他の誰かが評価してはいけない。
珍しい、珍しくない…ではありませんよ。」
義勇はこの言葉に心打たれた。
同情するでもない、慰めるでもない。
不思議な言葉だった。
確かに、義勇と蔦子のかけがえのない思い出が存在し、肯定してもらえた。
「私は確かに、冨岡様を恋情を絡めた視線で見ていませんでした。
でも、もしお姉さんの姿に重なったなら、喜んで代わりにでもなりましょう。」
そう言って、ニッコリ笑った。
同時に義勇は失恋はしたわけだが、傷付かなかった。
泰葉を姉と思って大切にしていこう。
蔦子に叶わなかったように。
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