第20章 柘榴
その日、炭治郎達にも、動きがあった。
し「泰葉さん、お願いがあります。」
しのぶに呼び出される泰葉。
し「炭治郎くん達が、眠ったまま2ヶ月が経とうとしています。
基本的に、人間の体は自然治癒力をもっていて、それは人間にとって必要な力です。
その力を上げるには、やはり自分の力で傷や疲労を回復していかなければならないのですが、点滴をしているにしても2ヶ月も目を覚まさないのは、危険性が出てきました。
なので、今回は泰葉さんの治癒力をお借りしたいと思っています。
提供していただいている血液などは、薬の開発に使ってしまっているので、また採血をさせてもらえますか?」
しのぶは基本的には自己治癒力で治せるようにしていきたかった。
それは、泰葉の負担を大きくしないように。
それと、自然の摂理に背かないように。
薬に頼りすぎると、人間の身体はそれに順応していってしまう。
それは避けたかった。
その意図を理解していた泰葉は、もちろんと頷いた。
泰葉の貧血などへの配慮から2日おきに2回の採決までとしていた。
昨日採血を行ったばかりだが、今日はしていない。
体調も良い。
だから、問題はない。
し「では、こちらで。」
促された椅子に座り、採血をする。
炭治郎、伊之助の2人分。
合わせて200mlの血をとった。
し「ありがとうございます。
こちらを一度調べて問題なければ、服用させようと思います。」
しのぶはニコッと微笑んだ。
「しのぶさん、その場に私も立ち会っていいかしら?」
泰葉が心配そうに言うと、
しのぶは「はい」と、頷いた。
しのぶは血液に問題がないと確認すると、炭治郎達が眠る部屋へと向かった。
泰葉も後に続く。
コンコン
返事はない。
面会謝絶と書かれた戸を開けると、ぴたんぴたん、と点滴の落ちる音がする。
炭治郎と、伊之助のベッドの間で善逸は椅子に腰掛けていた。
「あれ、善逸くんはもう目を覚ましていたのね。」
てっきり3人ともだと思っていたが、善逸は足の怪我だけだったらしい。
2人が心配なのか、いつもの元気がない善逸。
大切な友が重体なのだ、無理もない。
し「善逸くん、今からお二人の治療をします。
そこを貸してもらえますか?」