第19章 行き違い
『泰葉様
突然のお手紙で申し訳ありません。
最近、兄 杏寿郎の様子がおかしいのです。
色々試してはみたのですが、
うまく行かず…
なので、泰葉さんの力を
お借りしたく存じます。
千寿郎』
泰葉は乗合馬車に乗り込んだ。
(杏寿郎さんの様子がおかしいとは、どういうこと?)
千寿郎が直々に手紙を出すほどなのだろう。
泰葉は心配だった。
ガタガタと馬車が揺れながら、進んでいく。
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蜜璃は残ったパンケーキを食べていた。
冷めても美味しい。
今日は本当に良い出来だ。
蜜「でも、煉獄さん様子がおかしいって、どうしちゃったのかしら。
そこで泰葉ちゃんを呼ぶってことは、やっぱりそういう事よね⁉︎
しかも、ご家族が公認!羨ましいわぁ〜」
蜜璃はニヤニヤしながら、パンケーキを口に運ぶ。
蜜「私も、伊黒さんと両想いになれたら嬉しいんだけどなぁ…」
そう独り言を言っていると、
コンコンと玄関の戸が叩かれた。
蜜「あら?誰かしら…」
パンケーキを飲み込み、立ち上がる。
杏「こんにちわ!
甘露寺、いるだろうか?煉獄だ!」
蜜璃は杏寿郎の声に戸惑った。
え?
煉獄さん?
何で…具合が悪いんじゃないの?
さっき泰葉ちゃんは煉獄さんが心配で向かったのに?
蜜璃は一瞬でものすごく考えた。
これは、もしかして千寿郎くんがビックリさせたかったとかなのかしら⁉︎
蜜璃はパンクしそうな頭で、玄関を開ける。
目の前にはやはり杏寿郎が立っていた。
蜜「何で…今煉獄さんが…?」
その言葉に戸惑う杏寿郎。
杏「や、やはり、邪魔をしてしまっただろうか…」
杏寿郎にしては珍しく力のない声だ。
蜜「いえっ、邪魔とかではなくて…
今もう泰葉ちゃんは居ないんですっ!
先程出てしまって…。」
蜜璃のこの言葉に、ガーンと効果音がつきそうな杏寿郎の落ち込む顔があった。
蜜「と、とにかく!
煉獄さん、私は一刻も早くお家へ帰った方が良いと思います!」