第19章 行き違い
『いただきます!』
2人はパンケーキを頬張った。
ふわふわの生地にバターと甘くてトロッとした蜂蜜が堪らない。
2人は頬に手を添えてバタバタと悶絶した。
「おいしい〜!!!」
蜜「今まで何度か作ったけど、今日のが一番美味しいわ!
きっと泰葉ちゃんと作ったからよ!」
そう言いながら、パンケーキとワッフルを食べて行く。
泰葉は2枚ずつも食べていた。
しかし、まだまだ山のようにあるパンケーキとワッフルはこれから蜜璃の胃袋に入って行くのだろう…
「それで、蜜璃ちゃんは伊黒様とはどうなの?」
泰葉は少しニヤニヤしながら聞いてみた。
泰葉だって、自分の恋愛はさておき、人の恋愛話は大好きだ。
蜜「え!…そんな、何か進展したとかはないのよ?
ちょこちょこ食事をご一緒したりね、甘味処に行ったりね…」
いつも誘い誘われ行くらしい。
小芭内は幼い頃に負った傷があるらしく、口元の包帯を外したがらない。
だから、食事などはしないそう。
でも、蜜璃を誘い、たくさん食べる彼女を嬉しそうに見つめてくれているのだそう。
「そうなんだ。伊黒様は、優しい方なのね。
蜜璃ちゃん大切にされているのね。」
泰葉の言葉にぽぽぽぽと顔を赤くさせる蜜璃。
いっそのこと、早く恋仲になってほしい。
蜜「泰葉ちゃんだって…」
蜜璃が言いかけた時、屋敷の窓がコンコンとなった。
蜜「あれ?この子って…」
それは要だった。
要の足に手紙が括られていた。
蜜璃がそれを外し、中を見る。
すると、それは泰葉宛てのものだった。
蜜「泰葉ちゃん宛てみたい。」
そう言われて、疑問に思いながらも手紙を受け取る。
……………。
「蜜璃ちゃん、大変!
すぐに行かなくちゃ!とっても楽しかったし、美味しかったわ。
またお邪魔させてね。」
泰葉は蜜璃ににっこり笑ってお礼を言った。
蜜「うん、気をつけてね!
煉獄家の皆様によろしく伝えて。
それと、この先の大通りに出れば乗合馬車があるはずだから、その方が早いかも!」
泰葉は蜜璃と別れて、乗合馬車まで急いだ。