第19章 行き違い
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次第に、泰葉の噂が立った。
隊A「おい、聞いたか?
蝶屋敷に新しい一般人の女の子が来たんだってよ。
軽症だと治療してもらえるらしいぜ。」
隊B「なんでも、終わった時ににっこり笑って、超かわいいらしいよな。」
隊C「蝶屋敷の人は、みんな可愛いけど厳しいんだよな…
でも、その女の子はすっごい優しいらしい…。」
そんな噂があってからか、泰葉に治療してもらおうと、蝶屋敷にくる隊士が増えてきた。
「こんなに傷だらけになって…痛かったですね。
これで、良くなると思います。
お大事に!」
手際良く治療されるので短時間で終わるのだが、優しい言葉と笑顔を向けられて、なかなか隊士が出て行こうとしない。
泰葉が困って「次の人がいるので…」と声をかけて、慌てて出て行く、という感じだった。
この状態は泰葉も、なんだかおかしいと、しのぶに相談した。
しのぶは、嬉しそうに治療に来る隊士達を見て、はぁ…と呆れる。
そして、額に筋を立てながら
し「今日の軽症者は私が見ます。
よーく治療してあげますので、必要な方はこちらに並んでください。」
と声をかけた。
すると、ビクッと肩を震わせた隊士たちは
『あー…まだ化膿止めもってたわー…」など言い訳を呟きながら帰っていった。
し「まったく、どいつもこいつもです。」
しのぶの拳が宙を往復した。
これではいけないと、しのぶは柱達に手紙を出した。
『泰葉さんに
軽症者の治療を行ってもらっています。
しかし、隊士の中には下心で来ている者もいるようですので、蝶屋敷に行こうとしている隊士の管理をよろしくお願いいたします。』
しのぶの鴉は、この手紙を各柱達に届けた。