第19章 行き違い
それからは、平日は主に血液などの提供を行いながら蝶屋敷の手伝いをするようになった。
時間は午前10時から午後4時まで。
泰葉の家から蝶屋敷に来るまでは30分かかるため、それを考慮した時間だ。
日割りで賃金をもらうため、患者が少なかったりするときは、平日でもお休みになる事もある。
泰葉にとっては都合の良い仕事となった。
そして、何よりお給料が良い。
少しの日数でも生活していくには十分だった。
こんなにもらえないと伝えたことがあったが、しのぶとお館様と決めた額だと言われ、何も言えなくなってしまったのだ。
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このような生活が始まってから更に3日。
思ったことは、柱には会わない。
歓迎会後に煉獄家を出る時、また蝶屋敷で会えるだろうと思っていたが、びっくりするくらい会わないのだ。
(みなさん、元気かな?
杏寿郎さんはあの後、元気になったかな?)
そんな事を考えていたら、しのぶが話しかけてきた。
し「どうかしましたか?」
「え、何でもないよ。
何となく、柱の皆さんてここにはいらっしゃらないのかな…と思って。」
しのぶはクスリと笑った。
し「そうね、柱達は呼吸を極めているから。軽いものなら自分で対処できてしまうの。
だから、ここに来るのはよっぽどな怪我か、包帯とかを必要とした時くらいかしら。
あとは…私が呼び出したりしなければ来ないわね。」
「そっか…
もう少し会えるものだと思ってたから。」
しのぶは少し眉を下げてから微笑んだ。
し「最近は皆さん忙しいようですからね。
もう少し落ち着いたら、嫌というほど会いに来ると思うわ。
…特に、誰とは言わないけれど。」
しのぶは何かを含ませていたが、泰葉にはそれが何のことかは分からなかった。
し「そうだ、泰葉さん、今日から軽い傷の手当をしてもらえないかしら?
私は研究に入りたいから、アオイ達に重傷者を見てもらおうと思って…。」
軽い傷とは、消毒をして化膿止めを塗り、包帯を巻くくらいだ。
それくらいなら問題ない。
「うん、大丈夫!
分からないことはアオイさん達に聞く事にするね。」
し「泰葉さんは仕事の覚えも早いし、大丈夫だと思う。
もし、隊士に何が言われたり、何かされた時にはすぐに言ってね!!」