第18章 恋情
蜜「お隣いいですか?」
そう言って、ちょこんと座る。
蜜「私も今から食事しようと思って。
まだ夜明けまであるから、ご飯屋さんが開くまで持たないんです。」
杏「腹が減ってては戦えないからな!
俺はもう帰るだけだが、食事がまだだったんだ!」
そう言って、蜜璃は自分で握ったであろう、大きなお握りを頬張った。
そして、くんくんと鼻を鳴らす。
蜜「煉獄さんのお握りからかしら?なんだかいい香りがするわ!」
杏寿郎は自分の食べかけのおにぎりを見た。
杏「これか!今日は、さつまいものきんぴらが入っているんだ!」
蜜「え!さつまいものきんぴら⁉︎
食べたことがないわ!どんな味なのかしら!」
杏「ん…むぅ。」
千寿朗の持たせてくれた握り飯は4つ。
2つもさつまいものきんぴらだった。
今食べているのも、さつまいものきんぴら。
おそらくは全てそうだろう。
しかし、残るは1つ。
いつもは分けてあげるのだが、これをあげてしまえば…
杏「甘露寺…分けてあげたいのは山々なのだが…」
すまなそうな顔をする杏寿郎を見て、蜜璃は察した。
蜜「え⁉︎やだ、違うの!煉獄さんのお握りが食べたいんじゃなくて、さつまいものきんぴらって初めて聞いたから、どんな味なのかなぁ…って。
私のお握りはあるし、気にしないでください!」
蜜璃は顔を真っ赤にして慌てた。
杏「…そうか?
分けてあげられなくて、すまないな。」
蜜「き、気にしないだください!」
そう言いつつ、蜜璃は気になって仕方がなかった。
蜜(煉獄さんがここまで渋るほど、美味しいってことよね…!
さつまいものきんぴら…気になるわぁ…!)
その後は他愛のない話をしながら、食事の続きをした。
蜜「私、もう少ししたら、刀鍛冶の里に行こうかなと思っていて。」
杏「刀鍛冶の里か!
俺も久しく行っていないな!
上弦の参との戦いの際に、刀は折れたんだが、治療中に持ってきてくれたんだ!」
蜜「そうなんですね!
私の刀って薄いでしょう?だから、定期的に見てもらわないといけなくて…。
でも、あそこは温泉もあるし、ご飯も美味しいし!」
杏寿郎は、素晴らしい温泉がある刀鍛冶の里に泰葉も連れて行ってやりたいと思った。