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太陽の瞳 【鬼滅の刃】

第18章 恋情



泰葉は杏寿郎が落ち着くまで
そのままでいた。


杏寿郎が贈ってくれた勿忘草色の着物は、太ももあたりが涙で色が濃くなっている。


杏寿郎はしばらく肩を震わせていたが、次第に震えが無くなってきた。


落ち着いたのだろうか。


「杏寿郎さん?」



声をかけるが、返答がない。


泣いたから顔を見られたくないのだろうか?


そう思っていると、



すー…
すー…





え?





寝てる⁉︎





泰葉は固まっている。
どうしたら…良いのだろうか?




実は、杏寿郎は昨夜眠れていなかった。

宇髄に、泰葉に惚れているのだろうと言われてから、その事が頭から離れなかった。


そして、今
自分の気持ちに気づいた杏寿郎は
肩の力が抜けたのか、
眠ってしまったのだ。


泰葉はちょっと揺すってみたが、起きる気配はない。
杏寿郎の部屋まで運ぼうと思ったが、とてもじゃないが運べる気がしない。

生憎、槇寿郎も千寿郎も帰ってきていない。



この体勢では、杏寿郎も辛いだろう。


泰葉は、杏寿郎の体を両手で支えながら、身を後ろに引いた。
杏寿郎の首がカクンとなる。


杏寿郎が勢いよく倒れてしまわぬように、ゆっくりと前に倒していく。
杏寿郎の、頭を太ももの上に乗せて、横向きで膝枕のようにした。


これで、少しは楽に眠れるだろう。
杏寿郎は気持ちよさそうに眠っている。



泰葉は杏寿郎の肩を寝かしつけるように
トントンと拍子を打つ。



「赤い金魚
なぜなぜ赤い

赤い花を
摘んだから」


泰葉はポツリポツリと唄う。



杏寿郎の髪は、風にふわふわと揺れている。

泰葉の髪も癖毛だが、杏寿郎の髪も良く見ると癖毛である。
指で髪を梳くと、くすぐったそうに少し動いた。


いつもはキリッと威厳のある杏寿郎だが、
今は安心しきって眠っている幼な子のようである。
庭の方を向いた顔を覗き込むと、
やはり20歳の少しあどけなさの残る顔をしていた。



ちょっと…かわいい。





そう思っていたら、パタパタと足音が聞こえてきた。






千「泰葉さん!お待たせしまし…!!」







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