第17章 気持ち
泰葉はしっかりと槇寿郎の目を見据え
「西ノ宮家として授かったこの力。
鬼のいない世界を実現するために、活かしていただこうと思っております。」
槇寿郎は、はぁ…と大きく息を吐く。
槇「君のことだから、そうなるとは思ってはいた。
しかし、君の事も大切な家族のようなものだ。
…生きていて欲しい。」
この言葉は、泰葉に…本当の家族である杏寿郎に向けた、今まで言いたかったものだろう。
杏寿郎も槇寿朗の言葉を噛み締めているようだ。
その言葉に泰葉は柔らかく微笑んだ。
「私の事を家族のように思っていただいて、ありがとうございます。
そして、槇寿郎様の本当の気持ちを聞くことができて私は嬉しく思います。
その言葉を無駄にしないように、精進します。
まずは治癒のための血液などの提供なので、戦いにはまだ向かわないかと…。」
千「でも…いつかは戦いに?」
杏「おそらくな。
泰葉さんの戦闘能力は、鬼の血鬼術との相性は関わるが、少なくとも上弦の参と互角だった。
後に戦闘にも出ることになるかもしれん。」
「千寿郎くん、ありがとう。
ちゃんと生きるから大丈夫よ。」
泰葉は安心させようと微笑むが、千寿郎はとても心配そうだ。
槇「…泰葉さん、私たちは応援しよう。
とにかく、生きてくれ。
それだけだ。」
泰葉は頷いた。
ーーーーーーーーー
その後、荷物を持って家に帰ろうと思ったが、
千寿郎に常備菜を一緒に作って欲しいと頼まれた。
なので、泰葉と千寿郎は台所に立っていた。
千「早くお家に帰りたいところを…すみません。」
「ううん。大丈夫よ。
帰っても何もすることは無いしから気にしないで。」
千「ありがとうございます!
先日作っていただいた焼き長ネギの酢漬けは、父が気に入っていて。
兄上は、泰葉さんの料理は全てお気に入りです!」
千寿郎はキラキラとした瞳で言ってくれているが…
「ありがとう、でもなんだか照れてしまうわ。
また作り方を教えるから作ってあげてね。」
泰葉は千寿郎に詳しく教えながら作っていった。