第17章 気持ち
雛「天元様、泰葉さんには敵いませんね。」
天「マジかよ…」
頭を掻く天元に、首を傾げる泰葉。
そうしていると、それぞれの支度を済ませた柱達が集まってきた。
し「宇髄さん、楽しい時間を過ごす事ができました。
ありがとうございます。」
蜜「奥様方もありがとうございました!
ご飯もどれも美味しかったです!」
「本当に!今度教えて下さいね!」
それぞれ挨拶を済ませて、帰ることになった。
天「煉獄、俺は応援するが、諦めるつもりもねぇ!
ま、せいぜい頑張れや!」
杏「うむ!心得ておこう!」
し「あらあら。泰葉さん、提供のことはまたご連絡します。」
しのぶは患者が気になるということで、一足先に。
行冥と、実弥も遠方の任務があるらしく、そのまま向かっていった。
残るメンバーで歩きながら帰る。
その間は、他愛のない話をした。
蜜璃は小芭内とあそこの甘味処が美味しいとか、無一郎と義勇は小さな声で聞こえないがポツポツと何かを話している。
泰葉は、皆それぞれ仲が良いのだなと微笑んで見ている。
そんな中、杏寿郎は心穏やかではなかった。
昨日、天元と話をしてから泰葉をどう見て良いのか分からなくなってしまった。
泰葉の仕草一つ一つに、反応している自分がいる。
その感覚に違和感を感じてならないのだ。
泰葉は、そんな杏寿郎にどうしたのかと首を傾げる。
「煉獄様?…どうなさいました?」
杏「む、ど…どうもしていないぞ!」
「今日はあまりお話されていないなと思って…。
昨日、飲みすぎてしまいましたか?」
杏「そんなことはないぞ!
変わらず元気だが!」
あからさまにぎこちない返答である。
杏寿郎はこのままではいけないと、大きく深呼吸をした。
杏「すまない、ちょっと考え事ができてな。
こんなに態度に出るとは思わなかった。」
泰葉は、そんなに何を考えているのかと思った。
「もし、お力になれることがあれば言ってくださいね。」
泰葉は心配して言ってくれているが、杏寿郎は眉を下げた。
その考え事とは、泰葉のことなのだから。
杏「あぁ、ありがとう。」
杏寿郎は微笑んだ。