第17章 気持ち
義勇の話によると、夜中厠に起きたらしい。
しかし、元の部屋が分からなくなり、
しばらく庭に面した廊下に座って、月を眺めていた。
次第に眠気が来て、寄りかかりたくなったため、
すぐ近くの部屋の襖に寄りかかって寝ていた。
すると、襖が急に開いて後ろに倒れてしまった。
…という事だった。
ガサガサとしたのは、義勇が少し動いた時に襖と擦れた音だったのだ。
「私が急に開けたから…」
義「違う、俺がそんなところで寝てたのがそもそもとして間違っていたんだ。
泰葉が思い悩む必要は無い。」
実「そうだ泰葉。全ては冨岡が悪い。」
そんなやりとりを見ながら雛鶴が、声をかける。
雛「まぁまぁ、冨岡様も反省されている事です。
朝食にいたしましょう。」
須「今日の朝はおにぎりと、お新香とお味噌汁ですよ〜!」
ま「もし、任務で必要なら包みますからね!」
この騒動の中、いつの間に作ったのだろうと思うほど、大量のおにぎりが用意されていた。
柱の妻となるには、このくらいの技量が必要なのだろうか…。
一先ず、みんなで朝食をとる。
おにぎり一つもやっぱり美味しい。
「握り具合が最高で美味しい。」
頬を膨らませながら食べる泰葉を、ホワホワとした空気で見つめる面々。
そして、大量のおにぎりは主に蜜璃と杏寿郎の胃袋へと入っていったのだった。
『ごちそうさまでした!』
泰葉はせめて洗い物だけは…と手伝わせてもらっていた。
雛「泰葉さん、天元様はもう柱を引退されました。
なので、一般人と変わりありません。
いつでも遠慮なくいらして下さい。」
ま「そうそう!今度、裏の山で山菜でも取りに行こう!」
須「行きましょう!泰葉さんともっとお話もしたいですもん!」
泰葉は嬉しくなって、頷いた。
「ありがとうございます!
ぜひ、またお邪魔しますね!」
天「そのまま、嫁になっても良いんだぜ?」
泰葉の頭に肘を置く天元。
「雛鶴さん達と一緒にいれるのも、魅力的ですが
宇髄様は簡単に口説きすぎですよ。
本気にしたらどうするんです?」
天元は、ポカンとする。
天「泰葉、冗談だと思ってんのか?」
「ぷっ」
それに吹き出す嫁3人。